ショート動画の外注先を比べていると、提案書に「AIを活用した効率的な編集」と書かれていることがあります。書いてある会社と書いていない会社で、何が違うのか。安くなるのか、仕上がりが変わるのか。そこで判断が止まっている方に向けて書きました。
この記事で答えるのは、「AI編集をうたうショート動画の外注は、どこまでが機械の仕事で、どこに人の手が残るのか」という問いです。これが分かれば、見積もりを同じ物差しで並べられます。
答えから:AIで速くなるのは「起こす・切る・並べる」で、「選ぶ・確かめる」は人に残ります
AIの動画編集は、手作業の一部を下書きに置き換える道具です
いまの編集ソフトやサービスの多くには、話し言葉を文字に起こす機能、無音の区間を見つけて詰める機能、横長の映像を縦長に切り出す機能が入っています(2026年9月時点の一般的な例です。各サービスの最新の機能は公式で確認してください)。
どれも、これまで人が時間をかけていた繰り返しの作業です。ここは確かに速くなります。
一方で、AIが出すのはあくまで下書きです。どの場面を冒頭に置くか、字幕の中身が事実と合っているか、映ってはいけないものが映っていないか。この判断は、2026年9月時点では人が見て決める工程として残っています。
「AI編集」の一語だけでは、比べられません
同じ「AI活用」でも、字幕の下書きにだけ使う会社もあれば、素材選びから構成までAIに組ませる会社もあります。前者と後者では、人が触る時間も、仕上がりの確認のしかたも違います。
だから比べる前に、どの工程にAIを使っていて、そのあと誰が見ているのかを聞き出す必要があります。
この線引きが役に立つ方と、まだ早い方
AIの記載がある見積もりと、ない見積もりが並んでいる方
書き方が違う見積もりが2通以上あって、どちらが得なのか決めかねている方には、この記事の区分がそのまま使えます。工程ごとに分けて聞けば、差がどこから来ているかが見えてきます。
月に何本出すかが、まだ決まっていない方
本数も、撮る人も決まっていない段階では、AIを使うかどうかより先に決めることがあります。編集の効率が効いてくるのは、出す本数がある程度決まってからです。先に本数と撮影の段取りを決めてください。
編集を受けていた側から見た、ショート動画1本の工程
独立して最初の仕事は、動画編集でした
私は飲食の現場を離れたあと、動画編集のスクールに6ヶ月通いました。独立して最初にもらった仕事も、クラウドソーシングの動画編集の案件です。当時の編集の単価は、動画の尺で変わっていました。
尺で値段が決まるということは、発注する側から見ると「長さ」しか比べる軸がない、ということでもあります。けれど実際に手間がかかるのは、長さより、どの場面を残してどれを捨てるかを決めるところでした。
いまは、編集の「指示」を書く側にいます
いま業務委託で受けている仕事では、企画と台本、編集の指示、投稿、月次の分析をしています。編集そのものではなく、編集をする人に何を渡すかを書く立場です。
指示に書くのは、主に「どこを使うか」「何を言わせるか」「何を映さないか」です。この3つは、AIの機能が増えても私の側から消えていません。以下の線引きは、この経験から出しています。
ショート動画の編集で、AIが下書きを作れる工程
話し言葉の文字起こしと、字幕の下書き
話している映像から字幕を起こす作業は、AIに向いています。一文ずつ聞き取って打ち込む時間が、確認の時間に置き換わります。
無音や言い直しの区間を探す作業
話の間や言い直しを見つけて詰める作業も、機械が得意です。ショート動画はテンポが大事なので、ここが速くなる恩恵は小さくありません。
横長の素材を縦長に切り出す作業
横長で撮った素材から、人物や動きを追いかけて縦長に切り出す機能もあります。ただし、画面の端に入れた文字が、アプリの操作ボタンに隠れることがあります。切り出したあとに実際の画面で確かめる工程は残ります。
下書きのあとに、人の目が要る工程
冒頭に置く一場面を選ぶ
ショート動画は、最初の数秒で見続けるかどうかが決まります。どの場面を先頭に置くかは、誰に見せたいかで変わります。AIは「動きが大きい場面」を拾えても、「この店を知らない人が最初に見るべき場面」は判断できません。
固有名詞と数字を、事実と照らし合わせる
文字起こしは、商品名や地名、数字を聞き間違えることがあります。間違った商品名や営業時間が字幕に出ると、そのまま店の情報として受け取られます。字幕の固有名詞と数字を、誰がどの資料と突き合わせるかは、外注前に決めておきたい点です。
写り込んだ人や物を、出してよいか決める
お客様の顔、ほかのスタッフ、書類やモニターの画面。自動で切り出した縦長の画角に、撮った本人が気づいていなかったものが入ることがあります。出してよいかは、店の事情を知っている人しか決められません。
AIの使い方で、見積もりが軽くなる向き・重くなる向き
ここでは金額ではなく、金額が動く向きだけを書きます。制作費用全体の組み立てはショート動画の制作費用の記事に書いたので、ここではAIが関わる部分に絞ります。
軽くなりやすい条件
- 話している映像が中心で、字幕の量が多い
- 素材が長く、無音や言い直しを詰める手間が大きい
- 同じ型の動画を、毎月まとまった本数で出す
重くなりやすい、または変わりにくい条件
- 商品名や数字が多く、字幕の照合に時間がかかる
- 人が多く写る現場で、写り込みの確認が毎回要る
- 構成を毎回ゼロから考える企画が中心
- 確認する人が社内に複数いて、往復が多い
AIが短くするのは機械的な工程だけです。確認と往復の時間は、AIを使っても大きくは減りません。
具体的な金額を知りたい場合
条件によって大きく変わるため、当社では一律の料金を掲載していません。本数や素材の状態を伺ってお見積りします。料金・お見積りページをご覧ください。
比べるときに、外注先へ確かめる4つのこと
AIが作った下書きを、誰が何回見るか
「AIで編集」と書かれていたら、そのあとに人が見る工程があるかを聞いてください。見る人が編集者なのか、ディレクターなのかでも、拾える間違いの種類が変わります。
素材を、どのサービスに預けるか
AIの機能は、外部のサービスに素材を上げて使うものがあります。店の中やお客様が写った素材が、どこに預けられるのか。使い終わったあとどうなるのか。ここは契約前に聞いておく価値があります。
AIで作った音声や映像を混ぜるか
撮った素材だけで編集するのか、AIで作った声や映像を足すのか。足す場合は、見た人にどう伝わるかも含めて、使う範囲を先に決めておくと後から揉めません。
字幕の修正を、何回まで受ける前提か
自動の字幕は、下書きの段階で直す箇所が出ます。修正の回数と、直した版を誰が最終確認するかを、見積もりの前提として揃えてください。
持ち帰れるパーツ:AIに任せてよい範囲と、人がやったほうがよい範囲の線引き
外注先に出す前に、社内で次の区分に丸を付けておくと、見積もりの前提が揃います。
AIに任せてよい範囲
- 話し言葉を文字に起こして、字幕の下書きを作る
- 無音の間と、明らかな言い直しを詰める
- 横長の素材から、縦長の候補を切り出す
- 音量のばらつきを、聞きやすい範囲にならす
- 同じ型の動画で、字幕の位置や色をそろえる
人がやったほうがよい範囲
- 冒頭に置く一場面を選ぶ
- 字幕の商品名・地名・数字を、店の資料と照合する
- 縦に切り出した画角に、出してはいけないものが入っていないか見る
- AIで作った声や映像を、どこまで使うか決める
- 素材を預けるサービスを、社外に出してよいか決める
- 公開してよいかの最後の判断をする
下の段が多い店ほど、AIを使っても人の時間は残ります。見積もりの差を読むときは、下の段を誰が持つことになっているかを見てください。
この記事と近い話は AI SNS運用の自動化|どこまでが機械で、どこから人の手に戻るのか/リール制作の外注費用|見積書に出ない往復と、依頼側に残る作業 にも書いています。
まとめ
最初の問いは「AI編集をうたうショート動画の外注は、どこまでが機械の仕事で、どこに人の手が残るのか」でした。
答えは、文字起こし、無音カット、縦長への切り出しといった繰り返しの作業はAIが下書きを作れる。冒頭の場面選び、字幕の事実確認、写り込みの判断、公開の最終判断は人に残る、です。
比べるときは「AIを使うかどうか」ではなく、「AIのあとに誰が何を見るか」を聞いてください。上の線引きに丸を付けてから問い合わせると、どの外注先とも同じ前提で話ができます。
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