提案書に「AIを活用して効率よく運用します」と書いてあると、少し不安になる方は多いと思います。安くて速いのはありがたい。でも、中身が薄くならないか。
この記事が答える質問は1つです。「AIを使っている運用代行の品質は、発注前に何を見れば判断できるのか」。
先に答えを書きます。品質を分けるのは、AIを使うかどうかではありません。AIが出したものを、誰が、何と照らして確かめているかです。この工程は、見本と商談の質問で外から確かめられます。
AIを使う運用代行で、品質を分けているもの
AIが書いた文章は、間違っていてもそれらしく見えます
AIの文章は、言い回しが整っています。そのため、読んだだけでは中身が正しいか分かりません。店で起きていない出来事や、確かめていない数字が混ざっても、文章としては自然に読めてしまいます。
だから品質の問題は「文章が下手」という形では出てきません。「どの店にも当てはまる」「本当かどうか分からない」という形で出てきます。
確認は、照らし合わせる相手が決まって初めて確認になります
「AIの出力は人がチェックします」と書く会社は多いです。ただ、何と照らしてチェックしているのかが決まっていなければ、読んで違和感がないかを見ているだけになります。
照らす相手とは、たとえば店から受け取った情報、撮影した素材、過去の投稿の記録です。この相手が決まっているかどうかが、AIを使う会社の品質を左右します。
「AIは使っていません」も、それだけでは判断材料になりません
AIを使わずに人が書いていても、確かめる工程がなければ同じことが起きます。反対に、AIを使っていても、材料と確認がしっかりしていれば品質は保てます。見るべきは道具ではなく、工程です。
作る側として、私がAIをどう使っているか
最初に触ったころは、期待していたほどではありませんでした
私がAIを本格的に使い始めたのは、独立してからです。最初に触ったのはChatGPTで、当時やっていたコンサルの仕事をやらせてみました。精度はあまり高くなく、期待していたほどではありませんでした。最初からうまく使えていたわけではありません。
いまは毎日、投稿文の下書きと集計に使っています
いまは毎日使っています。自社のThreadsでは、毎朝AIが投稿文をまとめて作り、それを決まった時刻に自動で投稿しています。週次と月次の集計も自動です。
ただし、AIに数字や出来事を自由に書かせてはいません。実際に起きたことと測った数字だけを書いた一覧を作り、そこに載っているものしか使わせない形にしています。照らし合わせる相手を、先に用意しているということです。
それでも、手は毎日戻ってきます
正直に書くと、自動化を作っているのに、結局そのつど自分の手を動かしています。AIで作業は軽くなりますが、人が見なくてよくなるわけではありません。発注する側から見れば、人が見る時間がどこに残っているかが、品質の手がかりになります。
この比べ方が役に立つ方と、まだ早い方
候補に「AI活用」と書かれた会社が入っている方
提案書や見積もりにAIの文字がある会社と、ない会社が並んでいる方には、この記事の見方がそのまま使えます。同じ物差しで両方を比べられます。
出す判断まで、丸ごと任せたいと決めている方
投稿の確認をまったくしない前提なら、この見方の半分は空振りします。品質を守る工程の一部は、どうしても発注側に残るからです。任せる範囲を先に決めたい方は、そちらから考えたほうが早いです。
まだ何を投稿するかが決まっていない方
発信する相手や内容が決まっていない段階では、AIの使い方を比べても判断できません。材料がない状態では、どの会社の品質も確かめようがないためです。
見本で品質を確かめる3つの見方
その店でしか書けない一文が、何本あるか数える
今日から使える判断材料はこれです。見本の投稿文を読んで、店名を別の店に入れ替えても成り立つ文に線を引いてください。残った文が、その店でしか書けない一文です。
残る文がほとんどない見本は、材料を受け取らずに書いた可能性があります。AIを使っているかどうかに関係なく、同じ方法で比べられます。
数字と出来事の出どころを、1つだけ聞く
見本の中に数字や具体的な出来事があれば、1つ選んで「これはどこから来た情報ですか」と聞いてください。お客様から受け取った情報、撮影したときの記録、と具体的に答えられれば、確かめる工程が動いています。
同じ会社の別の見本と並べて、言い回しを見比べる
業種の違う見本を2つ以上もらえたら、並べて読んでください。書き出しや締めの言い回しがほとんど同じなら、型だけで作っている可能性があります。型があること自体は悪くありません。中身まで同じかどうかを見てください。
商談で聞くと、AIの使い方が具体的に出てくる質問
どの工程でAIを使っていて、どこで使っていないか
「AIを使っていますか」と聞くと、はい・いいえで終わります。「どの作業に使っていて、どの作業には使っていませんか」と聞くと、工程の説明が返ってきます。使っていない作業を答えられる会社は、線引きを自分で決めています。
AIが出したものを、最後に見るのは誰か
役割ではなく、担当者で答えてもらってください。「担当ディレクターが見ます」より「この案件は誰々が見ます」と言えるほうが、確認が実際に行われている可能性が高いです。
こちらが渡した情報を、AIにどう入れているか
店の情報やお客様の声をAIに入れるなら、その扱いも確かめておきたいところです。どのサービスに入れるのか、外に出してはいけない情報をどう分けているか。AIサービスの利用規約や情報の扱いは変わることがあるので、2026年10月時点の話として聞き、最新は各サービスの公式で確認してください。
AIの使い方は、見積もりのどこに表れるか
本数が増えても軽くなりにくいのは、人が確かめる部分です
AIで下書きが速くなると、本数を増やしても負担が増えにくくなります。ただ、出したものを人が確かめる時間は、本数に合わせて増えます。本数を増やしても見積もりがほとんど動かない場合は、確認の時間がどう数えられているかを聞いてください。
撮影と現地の作業は、AIでは軽くなりません
撮影の回数と時間、出張の有無、拠点の数は、AIを使っても変わりません。企画や台本をどこまで人が考えるか、分析とレポートを人が書くかどうかも、金額を動かす条件です。これらが増えれば上がり、減れば下がります。
見積もりは「AIを使う工程」と「人がやる工程」に分けてもらう
比べるときは、内訳を工程ごとに分けてもらうと判断しやすくなります。あわせて「含まれていない作業」を先に聞いておくと、あとから話がずれにくくなります。具体的な金額が必要な方は、料金・お見積りページから条件を伺ってお見積りします。
持ち帰れるパーツ:AIに任せてよい範囲と、人がやったほうがよい範囲の線引き
運用代行の工程を、AIに任せても品質が落ちにくいものと、人が持っておいたほうがよいものに分けました。提案書と照らして、どちら側に人が置かれているかを確かめてください。
AIに任せてよい範囲
- 受け取った材料をもとにした、投稿文の言い回しの候補出し
- 過去の投稿を、型や内容ごとに分類して並べる作業
- 月次の数字を表にまとめる、集計と整形
- 文字数の調整や、表記のゆれの洗い出し
- 決まった時刻に投稿する、予約と送信の作業
人がやったほうがよい範囲
- その出来事が店で本当に起きたかの確認
- 写真と動画の撮影、写り込みの判断
- 業種ごとに書いてはいけない表現の確認
- コメントやメッセージに、どう返すかの判断
- 数字が動いた理由の読み解きと、次に何を変えるかの決定
- 出すか、出さないかの最終判断
境目で迷う作業は、人が見る前提で任せる
企画のアイデア出しや、台本の下書きは境目にあります。AIに案を出させるのは構いませんが、採用するかどうかは人が決める形になっているかを確かめてください。提案書に「AIで企画」とだけ書かれていたら、選ぶのは誰かを聞くと分かります。
この記事と近い話は AI SNS運用の自動化|どこまでが機械で、どこから人の手に戻るのか/ChatGPTで投稿文の作り方|書かせる前に渡す材料と、人が見る場所 にも書いています。
まとめ
AIを使っている運用代行の品質は、AIの有無では決まりません。AIが出したものを、誰が、何と照らして確かめているかで決まります。
発注前にできることは3つです。見本から「その店でしか書けない一文」を数えること。数字や出来事の出どころを1つ聞くこと。AIを使う工程と使わない工程を、担当者の名前とあわせて説明してもらうこと。
この3つは、AIを使わない会社にもそのまま当てはまります。候補を同じ物差しで並べて、確かめる工程が見えた会社から選んでください。
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