SNS運用代行の費用は、撮影と制作に人の時間がどれだけ乗るかで決まります。同じ「SNS運用代行」という名前でも桁がいくつも違う見積もりが並ぶのはそのためで、どれも間違ったことは書いていません。
Instagramだけ、MEOだけと決める前の、どの媒体にどれだけかけるかを考える段階で読む内容です。条件が決まらないうちの金額は比べる相手がないので、金額そのものは載せていません。何が増えると費用が上がり、何を外すと下がるのかという向きと、その条件を自分で書き出す手順を置いています。
見積もりの差は会社の質ではなく「人の時間が乗る量」で決まる
作業は「撮る・作る・見る」の3つに分かれます
SNS運用代行の仕事は、乱暴に分けると3つしかありません。撮る・作る・見るです。撮影に人が現地へ出るか、動画や文章を何本作るか、数字を見て次を決める工程が入るか。このうち費用を大きく動かすのは、撮影と制作です。どちらも人が時間を使うので、時間の量がそのまま金額になります。
逆に言えば、撮影が入らない範囲は軽く、撮影と長い編集が入る範囲は重いという順番になります。特別な技術や道具の差では、金額はあまり動きません。動くのは、誰かが何時間そこに座っていたかです。
同じ「月4本」でも、1本にかかる時間は媒体で違います
ここがいちばん誤解されやすい場所です。見積書に「動画 月4本」と書いてあっても、1分未満の短い縦型動画を4本作るのと、十数分の長さの動画を4本作るのとでは、編集にかかる時間が別物です。撮影に必要な時間も違います。長い動画は、素材の量そのものが増えます。
つまり本数は、それだけでは作業量を表していません。本数と尺は必ずセットで見てください。ここを分けずに見積もりを並べると、安いほうを選んだつもりで、まったく違う商品を選んでいることになります。
だから「相場」という1つの数字は出てきません
費用を調べているときに数字がばらけて見えるのは、人の時間が乗る量が媒体ごとに違うのに、名前が全部「SNS運用代行」で揃ってしまうからです。金額を比べる前に、どの媒体の、どの範囲の話をしているのかを分けてください。分けた瞬間に、幅は一気に狭まります。
媒体ごとに、費用の重さがどこに乗るか
4つの媒体について、その費用の大半が何に使われているのかを書きます。ここを押さえておくと、見積書の1行が何を数えているのかが読めるようになります。
MEO(Googleビジネスプロフィール):重さは情報整備と口コミ対応に乗る
店舗の基本情報、写真、口コミへの返信、Google投稿を扱う領域です。撮影に人が出ることも、長い動画編集もありません。そのため4媒体の中では、作業時間がいちばん軽い側に入ります。
重さが乗るのは、情報のずれを見つけて直す手間と、口コミが届くたびに人が反応する範囲です。ここは店舗の数がそのまま倍率になります。1拠点と複数拠点では、同じ作業を対象の数だけ繰り返すことになるためです。何が費用を動かすのかは「MEO対策の費用相場|金額が何で決まるのかを、6つの条件に分解する」で細かく分けています。
テキストSNS(X・Threads):重さは本数より、反応に人が張り付く範囲
文章の作成と投稿代行が中心です。撮影も動画編集も入らないので、動画を作る媒体ほどは重くなりません。
ただし、費用を動かしているのは文章そのものより、コメントやDMに人が反応する範囲です。文章を書いて出すところまでなら作業時間は読めますが、届いた反応にその都度返す形になると、人が張り付く時間が読めなくなります。ここを含むかどうかで、同じ本数でも見積もりが変わります。
Instagram:重さは撮影に出る時間と、短い動画の本数
自社で運用しながら方針だけ相談する形と、撮影から制作、投稿まで任せる形では、そもそも商品が違います。前者は判断の相談が中心で、手を動かすのは自社です。後者は撮影と編集の時間がまるごと乗ります。
任せる形を選んだ場合、費用を動かすのは撮影に人が出る時間と、短い動画を月に何本作るかのふたつです。フィード投稿やストーリーズ、コメント対応を含めるかどうかも、そこに足し引きされます。この決まり方は「インスタ運用代行の料金|見積もりの差がどこから来るのかを分解する」にまとめています。
YouTube:重さは長尺1本あたりの編集時間
チャンネル設計と企画の相談だけを受ける形と、長い動画の編集とサムネイル制作まで引き受ける形があります。
後者で重いのは、長尺の動画1本あたりにかかる編集時間です。4媒体の中でここがいちばん重くなります。撮影に必要な時間も長くなり、素材の量も増えます。短い縦型動画を併せて作る場合は、同じ撮影から切り出せるのか、別に撮る必要があるのかで作業量が変わります。短い動画側の決まり方は「ショート動画の制作費用|何で金額が変わるのかを、1本単位と月額に分けて読む」に分けて書きました。
金額を動かしている条件を、7つに書き出す
媒体をまたいで共通する条件は、次の7つです。見積もりを取る前に、この7つを自分の言葉で埋めてください。埋まった時点で、聞くべき相手も、聞くべき質問も決まります。
条件1:媒体の数
1媒体か、2媒体か。MEOを含むのか含まないのか。媒体が増えれば、その分だけ作業も報告も増えます。媒体を増やすと上がる。減らすと下がる。ここは分かりやすい向きです。
条件2:制作の本数
動画なら月に何本、文章なら週に何本。本数はそのまま作業量です。ただし本数を倍にしても費用が単純に倍になるとは限りません。1回の撮影からまとめて素材を取る形なら、撮影の回数は増えないためです。本数を増やすと上がるが、上がり方は撮影の組み方で変わると考えてください。
条件3:動画の尺
1分未満の縦型動画か、十数分の長い動画か。同じ本数でも、ここで作業時間が別物になります。尺が長くなると上がります。見積書に尺が書かれていない場合は、必ず聞いてください。
条件4:撮影の回数と、1回の時間
人が現地に出るのか、素材はこちらで用意するのか。出るなら月に何回、1回何時間か。撮影の回数と時間は、費用の中でいちばん素直に効きます。設営と撤収がその時間に含まれるかどうかも、必ず確認してください。撮影時間の外に設営と撤収があると、実際の拘束時間が見積もりより長くなります。
条件5:出張と、拠点の数
撮影先が遠いか、拠点がいくつあるか。移動そのものに時間がかかりますし、拠点が複数なら同じ作業を数だけ繰り返すことになります。拠点が増えると上がります。交通費や宿泊費が月額の中なのか外なのかは、費目として別に確認する場所です。
条件6:企画と台本を、どこまで含めるか
撮る内容をこちらで決めるのか、企画から一緒に作るのか、台本まで書くのか。ここは外から見えにくい工程ですが、実際にはかなりの時間が乗ります。企画と台本を含めると上がり、素材と指示をこちらで渡す形にすると下がります。
条件7:分析とレポートを、どこまで含めるか
数字を並べるだけなのか、読み解きと次の提案まで入るのか。月に何回出すのか。読み解きが入ると上がります。ここを省くと費用は下がりますが、次に何を変えるかの判断は自社で持つことになります。
目的から決めると、先に選ぶ媒体が決まります

予算から入ると「いちばん安いものはどれか」という話になりますが、目的から入ると選ぶ媒体が先に決まります。よくある3つの目的で整理します。
近くの人に来店してほしい
地図から探して来る客層が主なら、MEOが先です。すでに「この辺で探している人」に対して情報が出る場所なので、写真と情報が整っているかどうかが直接効きます。撮影と動画編集が乗らないぶん、他の媒体と並行しても負担が小さい範囲です。SNSの運用に追加する形でも扱えます。
店名や社名で、指名で探されたい
指名で探されたときに、見た人が「ここでいい」と判断できる材料が必要になります。Instagramの短い動画がここに当たります。雰囲気や人の様子を短時間で伝えられるためです。撮影から任せる形になると、撮影の時間と本数がそのまま費用に乗ります。
まだ知らない人に届く範囲を広げたい
説明が必要なサービスや、検討期間が長いものは、長い動画が向きます。ただし出発点がいちばん重い媒体です。まずは相談だけを受ける形で自社が手を動かしながら方針を固め、続けられると分かってから制作を任せる、という順番も取れます。テキストSNSで反応を見るところから始める手もあります。
3つとも当てはまる場合でも、最初から3媒体を同時に動かす必要はありません。次に書くとおり、絞ったほうが読み取れることが増えます。
予算に上限があるときは、媒体を絞るか範囲を狭めるか
上限があるとき、削り方は2通りあります。1つは媒体を絞るやり方。3媒体を薄く分散させず、1媒体に決めて、その媒体では作業範囲を落とさない。もう1つは範囲を狭めるやり方で、複数の媒体を扱いながら、撮影を自社で持ったり、相談だけを受ける形にして投稿は自社でやったりします。
先に選ぶなら、媒体を絞るほうです。理由は2つあります。
範囲を狭めると、自社の工数がそのぶん増えます
相談型は費用が下がりますが、撮る人と投稿する人が社内に要ります。ここが用意できないまま契約すると、投稿が止まり、費用だけ出て何も動いていない状態になります。金額の話ではなく、社内の手が空いているかどうかの話です。自社で持つ場合に何を用意することになるかは「SNS運用代行と自社運用はどっち?外注する前に決まる5つの条件」に書いています。
薄く分散させると、何が効いたのか読み取れません
3媒体をそれぞれ最低限の本数で回すと、どの媒体も判断材料が足りないまま数か月が過ぎます。1媒体に寄せておけば、本数を増やしたときに反応が変わったのかどうかが読み取れます。
実務上は、来店を増やしたい店舗ならMEOを先に入れて情報を整え、動画で見せる必要が出てきた段階でInstagramを足す、という順番が組みやすいです。逆に、最初から本数の多い形を選んでおいて翌月に減らす調整は、素材が溜まる前に判断することになるので、あまり噛み合いません。
見積もりを横に並べるために、先に揃える条件
複数社から見積もりを取ったとき、金額だけを並べても比較になりません。前提が違うものを並べているためです。次の順番で聞いてください。そのまま使える形にしてあります。
同じ条件を書いた1枚を作って、全社に同じものを渡す
上に書いた7つの条件を、自分の言葉で埋めた紙を1枚作ります。媒体と数、制作の本数、動画の尺、撮影の回数と1回の時間、拠点の数、企画と台本を含むか、分析とレポートの回数。これを全社に同じものとして渡してください。各社に自由に前提を置かせると、返ってきた見積もりは並べられません。
内訳を、費目ごとに分けてもらう
一式でまとめられた見積もりは、比べる手がかりがありません。撮影・制作・投稿・分析・管理のように、費目を分けて書いてもらってください。分けてもらうと、社ごとにどこが厚いかが見えます。ここが実質的な提案の中身です。
含まれないものを、先に聞く
「何が含まれますか」より「何が含まれませんか」のほうが、答えの差が出ます。撮影の追加、修正の回数、投稿の代行、素材の受け渡し、解約後のデータの扱い。含まれないものが書かれていない見積もりは、後から足されます。
月額の外に何があるかを確認する
月々の費用とは別に発生するものが、必ずあります。代表は初期費用と、撮影に伴う交通費・宿泊費です。初期費用が何に対して発生しているのかは「SNS運用代行の初期費用|何に対して発生し、どんな条件で変わるのか」に書きました。1か月目に出ていく総額を、月額とは別に確認してください。
ここまで揃えると、残った差は作業量ではなく会社ごとの値付けと得意分野の差になります。そこで初めて比べる意味が出ます。会社ごとにどこで差が出るかは「SNS運用代行の選び方|代行する側から見た、会社ごとに実務の中身が違う5つの場所」、MEOの見積もりを並べる欄は「MEO対策の会社の選び方|見積もりを横に並べて比べるための4つの欄」にまとめています。
費用を調べるときに起きやすい3つの誤解

安い=手抜き、ではない
軽い範囲の見積もりは、重い範囲の手抜き版ではありません。やることの範囲が違うだけです。基本情報を確認して口コミ返信の型を作る作業に、撮影と動画編集の時間は要りません。安い見積もりを見たときに疑うべきなのは金額ではなく、「その範囲に何が含まれていないか」が書かれているかどうかです。
高い=安心、でもない
重いプランは本数と撮影時間が増えますが、それが自社の目的と噛み合っているかは別の問題です。地図から探して来る客層が主な店舗が、いちばん重い長尺動画の形を入れても、動いている量に対して手応えは薄くなります。重いプランは「たくさん作る」ことに対して重いのであって、目的に合っていることを意味しません。
平均値を探しても答えは出ない
「SNS運用代行の平均はいくらか」を調べても、含まれるものが違うものを平均した数字が出るだけです。見るべきは平均ではなく、自社が出したい本数と、撮影を誰がやるかを決めたときの見積もりです。条件が決まれば、幅は狭まります。逆に言えば、幅が広いまま見えているうちは、条件がまだ決まっていないということです。
依頼するまでの進め方
ここまでを踏まえると、順番は次のようになります。
- 目的を1つに決める。来店を増やしたいのか、指名で探されたときの材料を作りたいのか、知らない人に届く範囲を広げたいのか
- 媒体を1つ選ぶ。目的が決まれば、上に書いた対応でだいたい決まります
- 出したい本数と尺を決める。週に何本、どのくらいの長さかまで決めると、必要な作業量が見えます
- 撮影を誰がやるか決める。社内に撮れる人と時間があるなら相談型でも回ります。無ければ撮影を含む形になります
- 7つの条件を書いた紙を1枚作る。これが見積もりを並べるための土台になります
- 同じ紙で2〜3社に聞く。費目を分けた内訳と、含まれないものを一緒に出してもらいます
- 1か月目に出ていく総額を確認する。初期費用と交通費を含めて見ておきます
このうち、社外に聞かないと決まらないのは6番だけです。1番から5番は、問い合わせる前に自社で決められます。依頼する前に何を用意しておくと早いかは「SNS運用代行を頼む前に準備するもの|依頼側で先に決めておく5つ」にまとめました。ここが決まっていない状態で見積もりを集めると、各社がそれぞれ違う前提で書いてくるので、また比べられなくなります。
まとめ

SNS運用代行の費用に幅があるのは、会社の質が違うからではありません。撮影に人が出る時間と、制作する動画や文章の量、そして分析をどこまで含めるかという、人の時間が乗る量が媒体ごとに違うからです。
だから、費用を調べる段階でやるべきことは、平均額を探すことではありません。目的を1つ決めて媒体を1つ選び、本数と尺、撮影の担当、企画と分析の範囲を決めることです。そこまで決めれば、見積もりは同じ土俵に並びます。
条件が具体的に決まっている場合は、料金・お見積りのページから、その条件を伺ってお見積りをお出しします。媒体ごとの詳しい決まり方は、Instagramなら「インスタ運用代行の料金|見積もりの差がどこから来るのかを分解する」、MEOなら「MEO対策の費用相場|金額が何で決まるのかを、6つの条件に分解する」に分けて書いています。
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