士業のSNS集客を外注するとき|原稿の確認とDMの返答を誰が持つか

士業のSNS集客を外注するとき|原稿の確認とDMの返答を誰が持つか

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この記事が答える質問は1つです。士業の事務所がSNS集客を外注するとき、ほかの業種と比べて何が違い、見積もりのどこを比べればよいのか。

先に答えを書きます。士業のSNSで外注先ごとの差が出るのは、投稿の見た目よりも投稿の外側です。書いた中身の正しさを誰が確かめるのか。コメントやDMで相談が来たら誰が答えるのか。制度が変わったあと、過去の投稿をどう扱うのか。ここが提案書ごとにばらばらだと、同じ「月◯本」の見積もりでも中身は別のものになります。

書き手の立場も先にお伝えしておきます。私はInstagramとMEO(Googleビジネスプロフィール)の運用代行を受けていて、企画と台本、編集の指示、投稿、月次の分析をしています。ただ、士業の事務所のアカウントを担当したことはまだありません。この記事は、士業の実績からではなく、運用を受ける側の工程から見て「ここは事務所ごとに条件が変わる」と言える場所を並べたものです。

士業のSNSで、外注先の差が投稿の外側に出る理由

飲食店や美容室のSNSなら、写真の出来や投稿の本数で比べても大きく外しません。士業では、そこだけを見ると判断を外しやすくなります。理由は3つあります。

中身が正しいかを引き受けられるのは、資格を持つ人だけです

税金、労務、登記、許認可、契約。士業の投稿は、読んだ人が自分の判断に使う情報です。文章を整えるのは外注先にもできますが、書いてある内容が正しいと責任を持てるのは、資格を持つ先生の側だけです。だから、確認の工程がどこに入っているかで、外注の形そのものが変わります。

いちばん伝わりやすい「相談の実例」が、守秘の内側にあります

ほかの業種なら「お客様の声」や「施工の事例」が投稿の柱になります。士業では、相談の中身そのものが守秘の対象です。実例を出すなら、特定できないように作り替える必要があります。どこまで作り替えれば出せるのかを決めるのは、外注先ではなく事務所です。

制度が変わると、過去の投稿が誤りに変わります

税制や社会保険の制度は、改正が入ります。投稿した時点では正しかった内容が、数か月後には古い情報として残り続けます。投稿は消えずに検索や保存から読まれ続けるので、作って終わりにできないのが士業の特徴です。

この比べ方で判断が進む事務所と、もう少し手前にいる事務所

提案書の「確認」の書き方が、会社ごとに違う事務所

「確認は事務所様でお願いします」と書く会社もあれば、確認の欄そのものが無い会社もあります。この記事は、そうした提案書が2通以上手元にあって、並べ方に迷っている事務所に向いています。

所長ひとりが発信の顔になる予定の事務所

士業は、事務所よりも先生個人を見て選ばれることが多い仕事です。顔と名前を出す予定なら、出演の時間と確認の時間が両方とも先生ひとりに集まります。その負担の見積もり方を、後半で書いています。

扱う業務と相談を受けたい地域が、まだ決まっていない事務所

相続も法人も個人の確定申告も、と広げたままだと、外注先は企画を立てられません。見積もりも幅で返ってきます。この状態なら、外注先を比べる前に「どの相談を、どの地域から受けたいか」を一文にするほうが先です。

条件が分かれる場所1:原稿の専門的な確認を、誰が何回するか

下書きを作る人と、正しさを確かめる人を分けて書いてもらう

提案書に「原稿作成」とだけ書かれていたら、その中に確認が入っているのかを聞いてください。聞くときは、「下書きは誰が作り、内容の正しさは誰が確かめますか」と、2人に分けて答えてもらうと食い違いが出にくくなります。外注先に資格者がいない場合、正しさの確認は事務所に残ります。それ自体は悪いことではありません。残ると分かったうえで契約すれば足ります。

確認の往復が、月に何回までか

士業の原稿は、1回の確認で終わらないことがあります。言い回しひとつで意味が変わるからです。往復の回数に上限があるのか、超えたらどう扱うのか。ここが決まっていない見積もりは、あとから話がずれやすい場所です。

広告の決まりを確かめるのは、事務所の側です

士業によっては、所属する会の会則や規程で、広告に関する決まりが置かれています。どの規程が当てはまるか、SNSの投稿がどう扱われるかは、士業の種類によって違います。この記事の内容は2026年10月時点の一般的な話です。最新の決まりは、所属する会の公式の情報で確かめてください。外注先が「確認しておきます」と言っても、最後に判断するのは事務所です。

条件が分かれる場所2:コメントやDMで相談が来たとき、どこまで答えるか

外注先が返してよいのは、受付の言葉まで

SNSで反応が出てくると、コメントやDMに具体的な相談が届きます。ここで気をつけたいのが、資格を持つ人しか答えられない相談があることです。たとえば税務相談は、無償であっても税理士でない者が行うことは税理士法で制限されています。外注先が親切のつもりで中身に答えると、事務所の側に問題が残ります。外注先が返すのは「お問い合わせありがとうございます」と窓口の案内まで、と線を引いてください。

個別の事情に触れる質問は、事務所の窓口へ移す文面を決めておく

DMで「うちの場合はどうなりますか」と聞かれたら、どの窓口へ案内するのか。電話か、予約のページか、問い合わせのフォームか。案内の文面を1つ決めておけば、外注先も迷わず返せます。文面が無いまま始めると、返信が止まるか、答えすぎるかのどちらかになりがちです。

返信の担当が決まらないまま始めない

投稿は外注先、相談への返答は事務所、と分けたつもりでも、その間に誰の担当でもない時間が生まれます。この空白の見つけ方は、誰の担当でもない区間|SNS集客がつながらない原因の見分け方で詳しく書いています。士業では、そこで止まった相談がそのまま他の事務所へ流れていきます。

条件が分かれる場所3:制度が変わったあと、過去の投稿をどう扱うか

投稿の中に「いつ時点の話か」を入れる決まりを作る

いちばん手間が少ない対策は、制度に触れる投稿には必ず時点を書いておくことです。「この内容は◯年◯月時点のものです」と1行あるだけで、古くなったときに読み手が気づけます。外注先に、この1行を入れる運用にしてもらえるかを聞いてください。

見直しの作業が、見積もりのどこに入っているか

改正があったとき、過去の投稿を探して、注記を足すか、消すか、作り直すか。この作業は月によって量が大きく変わります。毎月の定額に入っているのか、発生したときに別で扱うのかを、契約の前に分けて聞いておくと、改正の多い時期にもめずに済みます。

条件が分かれる場所4:繁忙期と、先生が出演する時間

繁忙期に止まることを前提に、本数を配分する

税理士事務所なら確定申告の時期のように、士業には業務が集中する時期があります。その時期は、原稿を確認する時間も、撮影に出る時間も取れなくなります。毎月同じ本数で組むより、落ち着いている月に先に作りためて、忙しい月は本数を落とす配分のほうが続きます。外注先に、月ごとに本数を変えられる契約かを聞いてください。

顔を出すかどうかで、撮影の時間が大きく変わる

先生が動画で話す形にすると、撮影と、話す内容の確認の両方に先生の時間が要ります。図解や文字の投稿だけなら、先生の時間は確認だけで済みます。私自身、初対面の相手とオンラインで話すと人見知りが前面に出てしまうので、カメラの前に立つ負担は軽く見積もらないようにしています。顔を出すかどうかは、無理のない形を先に決めてから見積もりを取るほうが、比べやすくなります。

金額を動かす条件と、見積もりの取り方

この記事では金額を書きません。代わりに、何が増えると重くなり、何が減ると軽くなるかを並べます。

  • 先生が出演する形か:動画で話す形は、撮影と編集の時間が乗るので重くなります。図解や文字が中心なら軽くなります。
  • 原稿の確認の往復回数:上限が多いほど重くなります。事務所の側で確認者を1人に決めておくと、往復は減らせます。
  • 扱う媒体の数:InstagramにMEO、さらにYouTubeと増えるほど重くなります。
  • 制度が変わったときの見直しを含むか:定額に含めると重く、発生時に別で扱うと定額は軽くなります。
  • コメントやDMの一次対応を含むか:受付の返信まで任せると重くなります。事務所で返すなら軽くなります。
  • 拠点の数:事務所が複数あれば、地図の情報を整える作業がその数だけ増えます。
  • 分析とレポートの深さ:数字を並べるだけか、相談の件数と突き合わせるところまでかで変わります。

全社に同じ条件を書いた依頼文を送る

上の条件を、事務所の側で先に決めて1枚の依頼文にしてください。決められないものは空欄にせず「未定」と書きます。各社がばらばらの前提で見積もると、並べても比べられません。

内訳を「作る・確かめる・答える」の3つに分けてもらう

士業の見積もりでは、作る作業と、内容を確かめる作業と、相談に答える作業が混ざりやすくなります。この3つに分けて書いてもらうと、どの会社がどこまで持つのかが一目で分かります。「確かめる」の欄が空の会社は、確認がすべて事務所に残る前提です。

含まれないものを、先に一覧でもらう

「何が入っていますか」より「何が入っていませんか」を聞くほうが、あとから出てくる作業が見えます。制度改正後の見直し、DMへの返信、繁忙期の本数の調整。この3つは特に、入っているかどうかを一つずつ確かめてください。

当社の具体的な金額が必要な場合は、料金・お見積りのページから、条件を伺ってお見積りします。

持ち帰れるパーツ:士業事務所の1か月の運用スケジュール例

InstagramとMEOを外注し、先生が内容を確認する形で、週に2本ほど出す場合の例です。繁忙期でない月を想定しています。事務所の業務に合わせて、週をずらして使ってください。

1週目:今月扱う制度の動きを確かめ、テーマを決める

  • 事務所:今月お客様からよく聞かれたこと、近く施行される制度の変更を、箇条書きで外注先へ渡す。
  • 外注先:それをもとに、今月の投稿テーマと下書きの見出しを出す。
  • 事務所:守秘に触れるテーマが混ざっていないかを確かめ、テーマを確定する。

2週目:先生の確認を1日にまとめる

  • 外注先:今月ぶんの原稿をまとめて仕上げ、制度に触れる投稿には時点の1行を入れておく。
  • 先生:確認の日を1日だけ取り、全原稿の正しさをまとめて見る。往復はこの日の中で終わらせる。
  • 出演する形なら、同じ日に撮影も済ませる。

3週目:投稿を出し、地図の情報をそろえる

  • 外注先:確定した原稿を予定どおりに投稿する。
  • 外注先:Googleビジネスプロフィールの営業日や受付時間に、休業日や繁忙期の受付の変更が反映されているかを見る。
  • 事務所:届いたDMに、決めておいた案内の文面で返す。中身の相談には答えず、窓口へ移す。

4週目:振り返りと、古くなった投稿の点検

  • 外注先:月次の数字をまとめる。見る数字は、投稿の反応と、プロフィールから予約や問い合わせの窓口へ進んだ回数。
  • 事務所:その月の問い合わせのうち、SNSや地図を見て来た件数を記録しておく。
  • 両者:今月施行された制度に関わる過去の投稿を洗い出し、注記を足すか、非公開にするかを決める。
  • 次の月が繁忙期なら、ここで翌月ぶんを先に作りためる相談をする。

士業の相談は、見てすぐ問い合わせる類のものではありません。私が引き継いだ案件でも、伸びるまでは手応えが一切ない時期が続きました。だから数か月は、数字が動かない月を失敗と決めつけず、この流れが毎月回っているかを先に確かめてください。

この記事と近い話は SNS運用代行の相見積もり比較|依頼文を揃え、欄を決めてから並べる/SNS運用のKPI設定|外注先の提案を自分で判定するための物差しの作り方/歯科医院のインスタ集客|撮影より先に決まる「載せてよい範囲」の話 にも書いています。

まとめ:士業の外注は、責任の置き場所で比べる

最初の質問に戻ります。士業の事務所がSNS集客を外注するとき、ほかの業種と違うのは、中身の正しさ、相談への返答、制度改正後の見直しに、資格を持つ側の責任が残ることです。だから比べるのは投稿の出来だけでは足りません。

  • 原稿の正しさを誰が確かめ、往復は月に何回までか。
  • コメントやDMに、外注先はどこまで返し、どこから事務所へ移すか。
  • 制度が変わったとき、過去の投稿の見直しは見積もりのどこに入るか。
  • 繁忙期の本数と、先生が出演する時間をどう配分するか。

この4つを依頼文に書いて全社へ同じ形で送り、内訳を「作る・確かめる・答える」に分けて返してもらう。そこまで揃えば、見積もりは横に並べて読めるようになります。

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