歯科医院のインスタ集客|撮影より先に決まる「載せてよい範囲」の話

歯科医院のインスタ集客|撮影より先に決まる「載せてよい範囲」の話

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歯科医院のインスタ集客を外に出そうと決めて、いま何社かの提案を並べている。この記事は、その段階の方に向けて書いています。

先に結論を書きます。歯科医院の場合、外注先を比べる軸は「どれだけ見栄えのする動画を作れるか」ではありません。撮影を始める前に、何をどこまで載せてよいのかを誰が決めるのか。ここが提案の中に書かれているかどうかで、選ぶ相手が変わります。

他の業種なら、まず何を撮るかを決めて、そこから投稿の形が決まっていきます。歯科医院は順番が入れ替わります。載せられる範囲が先に決まって、そのあとで撮るものが決まります。この入れ替わりに気づいていない提案は、実際に始まってから作り直しになります。

最初にお伝えしておきます

当社に、歯科医院の運用実績はありません

私はいまInstagramとMEOの運用代行を仕事にしていて、企画と台本を作り、編集を指示し、投稿して、月に一度数字をまとめています。ただ、歯科医院を担当したことはありません。ですので、この記事に「歯科医院で伸びた例」は出てきません。

その代わりに書けるのは、代行する側から見て見積もりの前提が変わる場所です。実績の話より、比べている方にはこちらのほうが使えると思います。

それから、私は医療広告の専門家ではありません

この記事で医療広告に触れますが、条文の解釈をここで確定させるつもりはありません。書くのは「どこを誰が確認する話になっているか」という運用の分担の部分だけです。ルールそのものの判断は、行政の窓口や、医院が普段相談されている先へお願いします。

この記事が向かない方

まだ外注するかどうかを決めていない段階の方には、この記事は向きません。比べるための細かい話ばかりで、たぶん読んでいて疲れます。自院でやるか外に出すかを考えている段階なら、先にそちらを決めてからのほうが早いです。

医療広告の確認を、どちらがする前提になっていますか

SNSの投稿も、広告として見られる場合があります

厚生労働省が出している医療広告ガイドライン(2018年6月施行。その後も改訂されています)では、医療機関のウェブサイトなども広告規制の対象として扱われています。SNSのアカウントや投稿も、内容によってはこの範囲に入ると考えられています。

細かい線引きはここでは書きません。最新の内容は厚生労働省が公表している資料でご確認いただくのが確実です。ここでお伝えしたいのは「一般のお店のSNSと同じ感覚で作ると、あとで直すことになる」という一点です。

患者さんの声と、治療前後の写真は特に慎重な領域です

治療を受けた方の体験談や、治療前後を並べた写真は、扱いが慎重になる領域とされています。どちらも、SNSでは伸びやすい形です。だからこそ、何も知らない担当者が組むと真っ先にこの2つを提案してきます。

提案の中にこの2つが入っていたときに、「これは載せられる形になっていますか」と聞いてみてください。返ってくる答えで、その会社が医療の案件をやったことがあるかどうかは、だいたい分かります。

自由診療の話を出すなら、投稿の外に揃えるものがあります

自由診療の内容を出す場合、費用やリスクの記載など、投稿の外側で揃えておくべきものが出てきます。これは投稿を作る作業とは別の仕事です。

ここを誰がやるのかが決まっていないと、投稿はできているのに公開できない、という止まり方をします。運用が止まる理由として、いちばん地味で、いちばんよくある形だと思います。

提案書に「確認は医院側でお願いします」と書いてある場合

それが悪いわけではありません。むしろ、書いてあるほうが誠実です。問題はどこにも書かれていない場合で、そのときは黙って医院側の仕事として残ります。

この一行の有無が、そのまま見積もりの差になっていることがあります

投稿の内容を確認する工程は、作業として数えると決して軽くありません。表現を整えて、差し戻して、直して、もう一度見る。この往復が代行側の作業に含まれていれば、その分だけ見積もりは上がります。含まれていなければ下がります。

つまり安く見える見積もりが、確認を医院側に置いているだけということが起こります。安いこと自体が問題なのではなく、その差がどこから来ているかを知らないまま並べてしまうのが問題です。金額を比べる前に、この一行が両方の見積もりに入っているかを揃えてください。

撮影の前提が、歯科では診療室の外で決まります

診療室に機材を入れられるかどうか

撮影というと時間の話から始まりがちですが、歯科の場合は先に場所の話になります。診療室に三脚や照明を持ち込めるのか、持ち込めるとしてどの範囲までか。ここが決まらないと、撮れる画が決まりません。

提案の段階で「どこで撮る想定ですか」と聞いてみてください。院内を見ないまま本数だけ書いてある提案は、現場に入った初日に組み直しになります。

患者さんが院内にいない時間は、思っているより短い

誰も写らない時間に撮る、という前提で組むと、使えるのは診療前か、診療後か、休診日に限られます。ここに設営と撤収の時間も乗ります。

当社の撮影の時間は、機材の設営と撤収を含めた時間で数えています。この数え方は会社によって違うので、比べるときは撮影の何時間に何が含まれているかを揃えてから並べてください。

器具や薬剤が背景に写ることを、どう扱うか

診療室で撮ると、意図しないものが背景に入ります。それを毎回消すのか、写らない画角を先に決めておくのか。前者は編集の手間、後者は撮影の制約として乗ります。

どちらでもよいのですが、決めていないと毎回その場で判断することになり、撮影が長引きます。撮影が長引くと、次の撮影日が取りにくくなります。

出演する人が院長ひとりに寄ると、続かなくなります

誰が出るのかを、契約の前に決めておく

歯科医院は、院長のほかにも歯科衛生士や受付の方がいます。出演できる人が複数いる、というのは実は強い条件です。ただ、決めておかないと結局いちばん責任のある人に集まります。

院長ひとりに寄った運用は、しばらくは回ります。止まるのは3か月目あたりで、理由はたいてい「時間が取れない」です。本数を決める前に、出られる人が何人いるかを数えてください。

顔を出さない形で、どこまでできるか

顔を出さない方針もあります。その場合、手元や道具、院内の様子が中心になります。作れないわけではありませんが、作れる企画の幅は確実に狭くなります。

狭くなること自体は問題ではありません。狭い前提で本数を決めればよいだけです。広い前提の本数のまま顔出しなしにすると、途中でネタが尽きます。

採用も兼ねたい場合は、考え方が変わります

「求人にも使いたい」という話が入ると、投稿の宛先が2つになります。患者さんに向けた投稿と、働く人に向けた投稿では、出す内容も、見てほしい相手も別です。

兼ねること自体はできます。ただ、同じ本数のまま宛先を2つにすると、どちらにも足りなくなります。兼ねるなら本数を増やすか、月ごとにどちらへ寄せるかを決めるか、どちらかです。この話を見積もりの前に出してくる会社は、たぶん前にやったことがあります。

保険診療を増やしたいのか、自由診療を増やしたいのか

目的が違うと、そもそも媒体の選び方が変わります

近所の方に来ていただきたい場合と、矯正やインプラントのように比べられてから選ばれる診療を増やしたい場合とでは、やることが違います。前者は、インスタより先に手を入れる場所があることが多いです。

ここを決めずに見積もりを取ると、各社が違う前提で書いてくるので、金額を並べても比べられません。

近くの人に選ばれたい場合

この場合、地図上の情報のほうが先に効きます。営業時間、写真、口コミへの返信といった部分です。インスタを止める必要はありませんが、順番としては後ろでよいと思います。何を触る話なのかは MEO対策とは|地図に出るために、実際はどこを触っているのか に書いています。

比べられてから選ばれる診療を増やしたい場合

こちらは、投稿が「比べている最中の人」に読まれます。決め手になるのは見栄えではなく、不安が減るかどうかです。設備の紹介より、通う流れや、痛みへの向き合い方のような話のほうが、たぶん読まれます。

ただし、この領域は先ほどの医療広告の話と正面からぶつかります。いちばん書きたい内容が、いちばん確認の要る内容になります。だからこの記事は、確認を誰がするかの話から始めました。

歯科の見積もりで、金額を上下させている条件

ここからは金額そのものではなく、何が増えると上がって、何が減ると下がるのかを書きます。条件を先に把握しておくと、各社の提案書を同じ物差しで読めるようになります。

作る本数と、1本あたりの作り込み

いちばん大きく効くのはここです。月に何本作るかで作業量がそのまま変わります。同じ本数でも、テロップを丁寧に入れるのか、字幕程度で済ませるのか、効果音やアニメーションを付けるのかで、1本あたりの手間は変わります。

本数を減らすと下がります。1本の作り込みを軽くしても下がります。ただし、この2つを同時に落とすと、続けている意味が見えにくくなります。減らすならどちらか片方から動かすほうが判断しやすいです。

撮影に人が来るか、月に何回・何時間か

素材を医院側から渡して編集だけ任せるのか、撮影から任せるのかで、そもそも別の商品になります。撮影に人が来る形は、移動と設営と撤収の時間まで含めて人の時間が乗るので、上がります。

歯科の場合、ここに「撮れる時間帯が限られる」という制約が重なります。休診日や診療前後にしか入れないなら、1回で何本ぶんを撮るかが実現できるかどうかを決めます。月の回数を減らして1回を長くするほうが、合計としては軽くなることが多いです。

医院が1つか、複数の拠点があるか

分院がある場合、撮影に行く場所が増えます。投稿するアカウントが分かれていれば、その数だけ企画も投稿も増えます。地図側の情報を触るなら、拠点の数がそのまま作業の数になります。

逆に、アカウントを1つにまとめられるなら下がります。まとめてよいかどうかは集客の考え方の問題なので、費用だけで決める話ではありませんが、条件としては効きます。

企画と台本を、どちらが作るか

何を撮るかを決めて、話す内容を組み立てる作業です。ここを代行側が持つと上がります。医院側で用意して、撮影と編集だけ任せる形なら下がります。

歯科では、この作業に医療広告の確認が絡みます。企画を代行側が作るなら、出せる範囲を分かっている人が作らないと、確認の差し戻しが増えます。安く見えても差し戻しが多い形は、医院側の時間が余分にかかります。

分析とレポートが含まれるか

毎月の数字をまとめて、次に何を変えるかを出す作業です。数字を並べるだけなのか、そこから翌月の企画に落とすところまでやるのかで、手間がだいぶ違います。

ここが入っていない見積もりは、そのぶん下がります。入っていないこと自体は悪くありませんが、続けるかどうかを判断する材料が手元に残らないので、自院で見る前提を作っておく必要があります。

どこまで丸投げするか

原稿と動画のデータを納品するところまでなのか、投稿の操作までやるのか。さらに、コメントやメッセージへの対応まで含めるのか。範囲が後ろへ伸びるほど上がります。

歯科でこの範囲を決めるときは、患者さんからの質問がメッセージで届いたときに誰が答えるのかを先に決めておいてください。診療の内容に関わる質問は、代行側では答えられません。ここを空欄にしたまま始めると、返事が止まります。

見積もりを横に並べる前に、揃えておくこと

条件を1枚に書いてから、同じものを各社へ渡す

各社に自由に提案してもらうと、前提がばらばらの見積もりが返ってきます。並べても比べられません。先に条件を1枚に書いて、全社に同じものを渡してください。書く項目は、この記事で挙げた条件がそのまま使えます。

  • 月に作りたい本数と、増やすとしたら上限はどこか
  • 撮影に来てほしいかどうか。来てもらう場合、月に取れる時間帯と回数
  • 拠点の数と、アカウントを分けるかどうか
  • 企画と台本を、どちらが作るか
  • 投稿の操作まで任せるか、データの納品までか
  • メッセージやコメントへの対応を、どちらが持つか
  • 毎月の報告を、どこまで求めるか

内訳を、作業の単位で分けてもらう

一式でまとまった見積もりは、比べる材料になりません。撮影・編集・企画・投稿・報告のように、作業の単位で分けてもらってください。分けてもらうと、A社とB社で高い安いが逆転している項目が見えます。

そこが分かると、「A社の見積もりのこの部分は、うちでやれば要らない」という判断ができるようになります。総額だけを見ていると、この判断ができません。

含まれないものを、先に聞く

含まれているものは提案書に書いてあります。書かれていないのは、含まれないもののほうです。歯科で特に聞いておきたいのは次の3つです。

  • 医療広告の確認を、どちらがするか。差し戻しの回数に上限があるか
  • 撮影の前に院内を見に来るか。来る場合、その時間は撮影時間の中か外か
  • 撮った素材が、契約終了後にどちらに残るか。編集前のデータを受け取れるか

3つめは、求人ページや自院のサイトでも使いたい場合に効いてきます。使う予定があるなら、契約の前に言っておいたほうが早いです。あとから聞くと、追加の作業として扱われることがあります。

網羅的な条件で見たい場合

媒体の組み合わせや本数によって、できることの範囲は変わります。条件を伺ってお見積りしますので、料金・お見積りのページからご相談ください。頼む前に医院側で決めておくとよいことは SNS運用代行を頼む前に準備するもの|依頼側で先に決めておく5つ にまとめています。

持ち帰り:歯科医院の1か月の運用スケジュール例

そのまま使えるように、月の流れを書いておきます。本数は月4本の想定です。自院でやる場合も、外注先の提案を読む物差しとしても使えます。

第1週:載せてよい範囲を決める

  • その月に出したい診療内容を、先に1つか2つに絞る
  • 絞った内容について、投稿の外に揃えておく情報があるかを確認する
  • 体験談と治療前後の写真を使うかどうかを、この時点で決めておく
  • 出演する人を決める。院長以外に出られる人がいるなら、この段階で声をかけておく

第2週:撮影日

  • 休診日か、診療前後のまとまった時間に寄せる。合間に細切れで入れない
  • 設営と撤収の時間を、撮影時間の中に見込んでおく
  • 背景に写ってはいけないものを、撮り始める前に一度確認する
  • 1回で1か月ぶんを撮り切る。足りなくても、その月の中で撮り直しを足さない

第3週:確認の週

  • 確認する人を1人に決める。複数人で回すと、この週で止まります
  • 返す期限を決めておく。当日中でなくてよいので、何日以内かだけ決める
  • 直しは「表現として出せるか」と「内容が正しいか」の2点に絞る。好みの話は別の機会に

第4週:公開と、振り返り

  • 公開したら、そのままにしない。届いた人数と、プロフィールを見た人数だけ見る
  • いいねの数は、この段階では判断材料にしない
  • 問い合わせや予約があった場合、どの投稿を見て来られたかを受付で一言聞けるようにしておく
  • 翌月に絞る診療内容を、この時点で決めておく

この形で回すと、医院側が動くのは第1週と第3週です。撮影日を除けば、月に2回まとまった判断をする、という形になります。外注先の提案を読むときは、医院側の作業がこの2回に収まっているかを見てみてください。収まっていないなら、その差が毎月の負担になります。

まとめ:他業種と何が違うのか

歯科医院がインスタの外注先を比べるとき、他の業種と違うのは、撮影の話より先に「載せてよい範囲を誰が決めるか」が来るという点です。ここだけは、動画の見栄えや見積もりの安さで埋め合わせができません。

今日から使える判断材料を1つ挙げるとすれば、これです。手元の提案書に、医療広告の確認を誰がするかが書かれているかどうかを見てください。書かれていなければ、それは医院側に残っている仕事です。金額を比べるのは、その一行を揃えてからで間に合います。

私は歯科医院の運用実績を持っていないので、この記事に成功例は出せませんでした。ただ、代行する側にいると、うまくいかない案件のほとんどが「始める前に決めていなかったこと」で止まるのは分かります。反応が出るまでに時間がかかるのは、どの業種でも同じです。私自身、手応えのないまま続けた案件が、あとになって動いたことがあります。だからこそ、待っている間に前提が崩れない形にしてから始めるほうがよいと思っています。

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