カテゴリー: 業種別

業種ごとのSNS運用の考え方

  • 美容室のインスタ集客|外注先を選ぶときに、美容室だけ条件が変わる場所

    美容室のインスタ集客|外注先を選ぶときに、美容室だけ条件が変わる場所

    美容室のインスタ集客で外注先を探しはじめると、どの会社のページにも似たことが書いてあります。リールを作ります、分析します、レポートを出します。並べてみても差が見えません。

    この記事が答えるのは、ひとつだけです。美容室がインスタ運用を外に出すとき、他の業種と条件が変わるのはどこか。 そこを知っていれば、同じように見える見積もりの中から、自分の店に合うものを選べます。

    先に結論を書きます。美容室で条件が変わるのは4か所です。撮影を誰の時間に入れるか、スタイル写真があとで誰のものになるか、スタイリスト個人のアカウントとどう並べるか、そして予約への受け皿がどこにあるか。この4つを聞けば、会社ごとの中身の違いが出てきます。

    美容室のインスタが、他業種と同じ物差しで比べられない理由

    SNS運用代行の比較記事は、たいてい業種を問わない書き方をしています。制作本数、撮影時間、レポートの頻度。それはそれで正しいのですが、美容室の場合、その手前に前提がひとつ入ります。

    撮影の対象が「人」で、しかもお客様である

    飲食店なら料理を撮ればよく、物販なら商品を撮ればよい。美容室で撮りたいものは、施術後のお客様の髪です。つまり撮影のたびに、第三者の許可が要るということになります。

    ここが運用の難しさを一段上げています。「今日撮ります」と決めても、その日にちょうどいい仕上がりのお客様が来るとは限りません。来たとしても、写っていいと言ってくださるかは別の話です。

    撮る人と施術する人が、同じ人になりやすい

    スタイリストが自分の仕上げを撮る、という形が現実的にはいちばん多いはずです。すると撮影の時間は、そのまま施術できたはずの時間から引かれます。飲食店の記事でも似たことを書きましたが、美容室のほうが単価と時間の結びつきが強いぶん、影響がはっきり出ます。

    成果が「店」ではなく「人」に付くことがある

    投稿を見て来た方が、店を選んだのか、そのスタイリストを選んだのかは、外から見ると区別がつきません。これは運用の目標を決めるときに効いてきます。店のアカウントを伸ばしたいのか、特定のスタイリストの指名を増やしたいのかで、作るものが変わるからです。

    条件1:撮影を、誰のどの時間に入れる提案になっているか

    ここがいちばん大きく差が出ます。見積書の「撮影 月◯時間」という一行だけでは、中身が分かりません。

    営業中に撮るのか、営業外に撮るのか

    営業中なら、撮影のためにその時間の予約を止めるかどうかが問題になります。営業外なら、スタイリストに出勤してもらう必要が出てきます。どちらにも費用が発生していて、ただ見積書には載っていません。見積もりの外側にある店側の負担を、提案の段階で言っている会社かどうかを見てください。

    モデルを立てるのか、来店されたお客様に頼むのか

    これは分けて考えたほうがよい話です。モデルを立てる場合、誰が手配するのか、費用は誰が持つのかが決まっていないと、あとで揉めます。来店されたお客様に頼む場合は、頼む役をスタイリストがやることになります。断られたときにどうするかまで、段取りに入っているかを確認してください。

    1回の撮影で、何回分の投稿を撮る想定か

    撮影の回数が多いほど、店の負担は増えます。逆に1回でまとめて撮ると、投稿が似た仕上がりばかりになります。どちらを選ぶかではなく、その会社がどちらを前提に組んでいるかを聞くのが目的です。当社の場合はリールの本数に対して撮影時間が対になっていて、月4本のライト4なら撮影は月2時間です。詳しくは料金ページをご覧ください(2026年8月時点の内容です。最新は同ページでご確認ください)。

    設営と撤収が撮影時間に入っているか

    照明を組む、鏡の映り込みを避ける位置を探す、といった準備に時間がかかります。美容室は鏡が多いので、ここは想像より時間を取られる場所です。「撮影2時間」が正味2時間なのか、準備込みで2時間なのかで、実際に撮れる量が変わります。

    条件2:スタイル写真と動画が、あとで誰のものになるか

    美容室にとって、撮ったスタイル写真はインスタの外でも使う資産です。予約サイト、店内の掲示、求人。ここの扱いを契約前に確認しておかないと、あとから使えないことが分かります。

    予約サイトや求人ページにも使えるか

    「SNS用に制作したもの」という前提の契約だと、他媒体への転用が範囲外になっていることがあります。使いたい場所を先に伝えて、書面に入れてもらうのが確実です。

    編集前の素材を受け取れるか

    納品されるのが完成した動画だけなのか、撮ったままのデータももらえるのか。もらえるなら、あとから店内掲示用に静止画として切り出す、といったことが自分たちでできます。

    お客様の許可が、どこまでの範囲で取られているか

    ここは会社選びというより、店の運用として決めておく話です。撮影の許可をいただくとき、使う媒体をどこまで伝えているか。インスタだけと伝えて撮ったものを、あとで予約サイトに載せることはできません。許可の取り方の書式を運用会社が用意しているかどうかは、聞いてみる価値があります。

    スタイリストが退職したあとの扱い

    写っているのがお客様だけとは限りません。施術しているスタイリストが写っている投稿は、その方が辞めたあとどうするか。これは運用を始めてしばらく経ってから問題になる場所なので、先に決めておくと後が楽です。

    条件3:スタイリスト個人のアカウントと、どう並べる設計か

    美容室でこの話が出てこない提案は、少し疑ったほうがよいと思っています。実際には個人アカウントのほうが動いている店も多いからです。

    店のアカウントと個人アカウントで、役割が分かれているか

    同じ内容を両方に出しても、見る人にとっては同じものが2回流れてくるだけです。店は店で何を担うのか、個人は個人で何を出すのか。役割が言葉で説明できる提案かどうかを見てください。ここが決まっていないと、投稿が増えるほど中身が重なっていきます。

    個人アカウントの投稿を、会社側が支援するのか、しないのか

    代行の範囲が店のアカウントだけなら、個人側はスタイリスト任せになります。それでもよいのですが、台本の型だけ共有する、撮影のときに個人用の素材も一緒に撮る、といったやり方はあります。範囲外だとしても、聞けば答えは返ってきます。

    スタイリストが辞めたときに、店に何が残るか

    個人アカウントに集客を寄せていると、その方の退職がそのまま集客の減少になります。かといって個人の発信を止めると、いちばん動いている経路を止めることになります。どちらかに寄せるのではなく、店側に何を残すかを決めておくという話として、運用会社に相談してよい論点です。

    条件4:予約までの導線が、投稿の外に用意されているか

    投稿が見られても、予約の入口が分かりにくければそこで止まります。ここは代行会社ごとに、手の入れ方がはっきり違います。

    プロフィールから予約まで、何回タップするか

    実際に自分のスマホで押してみてください。プロフィールのリンクを押して、予約サイトに飛んで、店舗を選んで、メニューを選んで、スタイリストを選ぶ。ここまでで何回押しているかを数えます。この回数は今日すぐ数えられて、しかも改善できる場所です。 提案の場で「今は何回です」と言ってくる会社は、事前に見ています。

    複数の予約経路がある場合、どれを主にするか

    予約サイト、電話、公式LINE、DM。美容室は入口が多い業種です。全部並べると、見る側は選べません。どれを主にして、他はどこに置くか。この整理を提案に入れているかどうかは、比較の材料になります。

    指名で探されたときに、何が出てくるか

    投稿を見た方が、店名やスタイリスト名で検索することがあります。そのとき地図に出てくる情報が古いままだと、そこで離れます。Googleビジネスプロフィール側の話になるので、インスタの提案とは別の会社が担当することもあります。片方だけ整えても効きにくい場所なので、両方をどう扱うかは聞いておいてよいと思います。

    提案を受けるときに、答えが返ってくるかどうかで分かること

    ここまでの4条件は、どれも「正解の答え」があるわけではありません。営業中に撮るのが正しいわけでも、個人アカウントを止めるのが正しいわけでもない。

    即答できるか、持ち帰るかは、どちらでもよい

    大事なのは、質問の意味が通じるかどうかです。美容室の運用をやったことがあれば、「そこは店ごとに違うので確認させてください」という返し方になります。質問の前提が伝わっていない反応が返ってきたら、この業種は初めてなのだと分かります。

    初めてであること自体は、悪いことではありません

    私自身、手応えが無いまま続けた案件が、あとから動いたことがあります。引き継いだアカウントをコンセプトから作り直したもので、やっている最中は効いているのかどうか分かりませんでした。伸びたときはクライアントも驚いていましたし、正直に言えば自分でも驚きました。反応が無い期間があること自体は、失敗の証拠ではないと、そのときから思っています。

    ですから、経験が浅いことよりも、分からないことを分からないと言うかどうかのほうを見てください。

    持ち帰れるパーツ:美容室での、1か月の運用スケジュール例

    比較の材料として、1か月がどう進むかの例を置いておきます。これは当社の進め方の一例で、業界の標準ではありません。 見積もりを取った会社に「うちだとこの月次はどうなりますか」と当てて使ってください。項目がまるごと抜けていたら、そこは範囲外ということです。

    第1週:撮影の準備と、当日

    1. 撮影日を決める。予約状況を見て、施術の入っていない枠を先に押さえる
    2. その日に撮るスタイルを決める。何パターン撮るかを先に決めておくと、当日迷わない
    3. 撮影に協力いただけるお客様、またはモデルの候補を決める。断られた場合の代わりも一緒に決めておく
    4. 使用範囲を書いた許可の用紙を用意する。インスタだけか、予約サイトも含むかをそこに書く
    5. 撮影当日。鏡の映り込みを避ける立ち位置を最初に決めてから、順番に撮っていく
    6. 撮影後、その日のうちに素材を共有する。仕上がりの記憶が残っているうちに、どのカットが良いかを伝える

    第2週:編集の確認と、公開

    1. 編集された動画を確認する。見るのは仕上がりの色味と、施術内容の説明が正しいかの2点
    2. 薬剤名や施術メニューの表記に間違いがないかを、スタイリスト本人が見る。ここは店側にしか判断できない
    3. 公開。曜日と時間を毎回変えないほうが、あとで比べやすい
    4. コメントとDMの対応を誰がやるか、この週の分だけでも決めておく

    第3週:予約の入口を1つだけ触る

    1. プロフィールから予約完了までのタップ数を数える。前の月と比べる
    2. プロフィールの1行目を見直す。何の店で、どこにあるかが最初の1行で分かるか
    3. 予約サイトのスタイル写真を、今月撮ったものに差し替える。撮った素材をインスタの中だけで終わらせない
    4. Googleビジネスプロフィール側の情報が古くなっていないかを見る。営業時間、休業日、メニュー

    第4週:数字を見て、次の月の撮影内容を決める

    1. その月の投稿の中で、いちばん見られたものと、いちばん見られなかったものを1本ずつ選ぶ
    2. 選んだ2本の違いを、スタイルの種類・撮り方・冒頭の1秒で見比べる
    3. 予約時に「インスタを見た」と言われた件数を数える。数えていないなら、来月から聞く形にする
    4. 来月に撮るスタイルの方向を決めて、第1週の予約枠を先に押さえる

    4週目の3つ目だけは、運用会社では代われません。受付で一言聞くかどうかで、翌月からの判断材料が変わります。

    この選び方が向く店と、向かない店

    正直に書いておきます。ここまでの内容は、どの美容室にも当てはまるわけではありません。

    向いているのは、撮影の枠を毎月確保できる店

    月に2時間でも、施術を止めて撮影に充てられるかどうか。ここが動かせない店だと、外注しても素材が集まらず、代行会社も作るものがありません。撮影の枠を空けられないなら、まず店側の段取りを決めるほうが先です。

    向かないのは、来月の予約を埋めたい店

    インスタの運用は、反応が出るまでに時間がかかります。来月の空きをすぐ埋めたいのであれば、既存のお客様への連絡や、地図での見え方を整えるほうが早いはずです。急ぎの集客と、時間をかけて広げる運用は、別の打ち手だと考えたほうがよいと思います。

    スタイリストが1人の店は、判断がまた変わります

    撮影も施術も同じ1人ですから、外注しても店側の時間は減りません。この場合、制作をまるごと任せるより、方針だけ相談する形のほうが合うことがあります。当社ではコンサルという形で、自社で運用しながら相談する枠を用意しています。

    この記事と近い話は 飲食店のインスタ集客|外注先を比べるときに見るべき、飲食ならではの5つの条件/インスタ運用代行の料金|見積もりの差がどこから来るのかを分解する/SNS運用代行と自社運用はどっち?外注する前に決まる5つの条件 にも書いています。

    まとめ

    美容室がインスタ運用を外に出すとき、他業種と条件が変わるのは4か所でした。

    • 撮影を誰のどの時間に入れるか。見積書に載らない店側の負担を、提案で言っているか
    • スタイル写真があとで誰のものになるか。予約サイトや求人にも使えるか
    • スタイリスト個人のアカウントと、役割をどう分けるか。店に何が残るか
    • 予約までの導線が投稿の外に用意されているか。何回タップで予約まで着くか

    この4つを同じ言葉で各社に聞けば、返ってきた答えを横に並べられます。答えの中身より、質問の意味が通じるかどうかのほうが、比較の材料としては使えます。

    そして今日すぐできることが1つあります。自分の店のプロフィールから、予約が完了するまでのタップ数を数えてみてください。 外注するかどうかに関係なく、その回数は今日から減らせます。

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  • 飲食店のインスタ集客|外注先を比べるときに見るべき、飲食ならではの5つの条件

    飲食店のインスタ集客|外注先を比べるときに見るべき、飲食ならではの5つの条件

    飲食店のインスタ集客を外注しようと決めて、何社か候補を見比べている段階の方に向けて書いています。先に結論から書きます。飲食店の場合、比較で本当に差が出るのは「撮影を営業のどこに入れるか」と「その投稿が来店まで届く形になっているか」の2点です。投稿本数や見積もりの数字だけを横に並べても、この2つが揃っていない会社とは、契約したあとで必ず食い違います。

    私は飲食の現場に10年いたあと、SNS運用代行として独立しました。いまも自分で撮影から編集、分析までやっています。だから、飲食店の運用が他の業種と何が違うのかは、代行する側の実感として書けます。売り込みではなく、他社と比べるための材料としてお使いください。

    飲食店のインスタが、他業種と同じ物差しで比べられない理由

    SNS運用代行の比較記事はたくさんありますが、そこに書かれている基準をそのまま飲食店に当てはめると、いくつか噛み合わない場所が出てきます。理由は3つあります。

    撮影の時間が、営業時間と正面からぶつかる

    料理を撮るなら、いちばん良い状態は提供の直前です。ところが、その時間帯は厨房もホールもいちばん動いています。他業種なら「空いている時間に伺います」で済む話が、飲食店では営業のどこに撮影を差し込むかという段取りの問題になります。ここを詰めていない見積もりは、現場が始まってから止まります。

    投稿を見た人と、来る人の距離が近い

    飲食店は、投稿を見た人が今日か今週のうちに来店する可能性があります。これは強みですが、同時に条件でもあります。投稿の中に、行ける情報が入っているかということです。場所、営業時間、予約の要否。届く範囲が広くても、行き方が分からなければ来店にはつながりません。

    作る側の人が、そのまま出演者になることが多い

    飲食店のリールは、料理だけでなく作っている手元や店主が映ることが多いです。つまり、撮影に協力する人が営業中の担当者と重なります。他業種のように「広報の担当者に立ち会ってもらう」という分け方ができません。この負担をどう見積もっているかは、会社によってかなり違います。

    条件1:撮影を営業のどのタイミングに入れる提案か

    ここが飲食店では最初の分かれ目です。見積もりの段階で必ず聞いてください。

    「開店前」「アイドルタイム」「営業中」で難易度がまったく違う

    開店前は、店内が静かで撮りやすい代わりに、実際の賑わいは撮れません。アイドルタイムは中間ですが、仕込みが入っていれば厨房は動いています。営業中はライブ感が撮れる反面、スタッフに声をかけられる回数が限られます。どの時間帯で撮る前提なのかを言わない会社は、まだ現場を想像していない可能性があります。

    1回の撮影で何本ぶんを撮るのか

    飲食店の撮影は、営業のたびに人が来るより、1回まとめて撮って数週間ぶんの素材にするほうが現場の負担は軽くなります。月に何本作るかだけでなく、その本数を何回の来店で撮るのかを確認してください。同じ本数でも、月1回の撮影と月4回の撮影では、店側が空ける時間がまったく違います。

    撮影時間に、設営と撤収が含まれているか

    照明や三脚を立てて片付ける時間は、意外と長くかかります。ここが別カウントだと、実際に撮っている時間が想定より短くなります。当社の場合は機材の設営と撤収を撮影時間に含めていますが、会社によって数え方が違うので、そこは見積もりの前提として揃えておくと比較が正確になります。

    条件2:料理の写真と動画が、あとで誰のものになるか

    飲食店の場合、撮影素材はSNS以外にも使い道があります。ここが他業種より重要になります。

    グルメサイト・自社サイト・店頭で使えるか

    撮った料理写真を予約サイトのページに載せたい、店頭のメニューに使いたい、という話は必ず出てきます。ところが契約によっては、SNSへの掲載だけを許諾範囲としている場合があります。これは会社が意地悪をしているわけではなく、単に取り決めていないだけのことも多いので、最初に聞いておくと後で困りません。

    編集前の素材(撮って出しのデータ)をもらえるか

    納品されるのが完成したリールだけなのか、編集前のデータももらえるのかで、素材の使い回しの幅が変わります。飲食店はメニュー改定のたびに写真が要る業態なので、素材が手元に残る形かどうかは長い目で見ると差になります。

    解約したあと、投稿はどうなるか

    契約が終わったあと、それまでの投稿がアカウントに残るのか、削除されるのか。ここは会社ごとに考え方が分かれます。契約の終わり方全般についてはSNS運用代行の選び方|代行する側から見た、会社ごとに実務の中身が違う5つの場所で書いていますので、あわせて確認してみてください。

    条件3:来店までの導線が、投稿の外に用意されているか

    ここが飲食店でいちばん見落とされやすい場所です。

    プロフィールに、行き方が全部そろっているか

    リールを見た人がプロフィールを開いたとき、店名、場所、営業時間、予約の方法がすぐ分かるか。ここが整っていないと、届いた分だけこぼれます。投稿を作る前に、まずプロフィールを直すという順番を提案してくる会社は、来店を見ている会社です。

    地図アプリと検索から来る人のほうが多い場合がある

    お店を探している人は、インスタで見つけることもあれば、地図アプリで「近くの居酒屋」と調べることもあります。飲食店の場合、インスタだけを整えても、探している人の入口の半分しか押さえていないということが起こります。この点は次の条件で書きます。

    予約が電話だけの場合、投稿からの距離が遠くなる

    インスタを見て「行ってみよう」と思った人が、電話をかけるのは少しハードルがあります。予約サイトのリンクをプロフィールに置くのか、DMで受けるのか。ここを決めていないまま投稿だけ増やしても、数字が動いたか判断できません。今日から確認できることとして、自分のお店のプロフィールをスマホで開いて、初めて見る人の目で「今日ここに行けるか」を確かめてみてください。

    条件4:MEOとの役割分担を説明できるか

    飲食店の外注で、インスタと必ずセットで話題になるのがGoogleビジネスプロフィール(MEO)です。

    2つは、取りに行っている人が違います

    ざっくり言うと、MEOは「この辺で食べる店を探している人」に見つけてもらうための場所で、インスタは「まだお店を知らない人」に届く可能性がある場所です。前者はすでに行く気がある人、後者はこれから知る人。取りに行く相手が違うので、どちらか一方だけで完結する話ではありません。

    「両方できます」の中身を分けて聞く

    両方対応と書いている会社は多いですが、実際にどちらに時間を使うのかは提案によって違います。どちらを先にやるべきかを、理由つきで説明できるかで判断してみてください。お店の状況によって答えは変わるはずなので、どの店にも同じ順番を出してくる場合は、理由のほうを聞いてみるとよいと思います。

    MEO側で何をやるのかは別の記事にまとめています

    MEOでどこまでの作業が発生するのかという分解はMEO対策の費用相場|金額が何で決まるのかを、6つの条件に分解するに書いています。インスタとの併用を考えている場合は、そちらも見ていただくと、2つを合わせた見積もりの読み方がはっきりします。

    条件5:数字が動かない期間を、どう説明する会社か

    ここは飲食店に限りませんが、飲食店は結果を早く求めやすい業態なので、あえて書いておきます。

    反応が無い時期は、実際にあります

    私が引き継いだあるクライアントの案件では、コンセプトから作り直したあと、伸びるまで手応えが一切ありませんでした。やっている最中は、効いているのかどうか分からないままでした。それが最近になって伸びて、クライアントも驚いていましたし、正直、自分でも驚きました。手応えの無い期間があったあとに、急に来ることがあるというのは、実感として持っています。だから今も、反応が無い期間をすぐ失敗とは考えないようにしています。

    その期間に、何を報告してくるかを聞く

    大事なのは、数字が動かない月に何を言う会社かです。「もう少し様子を見ましょう」だけで終わるのか、次に試すことを出してくるのか。ここは契約前に「反応が出ない月のレポートには何が書かれますか」と聞けば、だいたい分かります。

    期間の見立てを、先に揃えておく

    3か月で判断したいのか、半年見るのか。この見立てが店側と代行側でずれていると、途中でお互いに不満が出ます。契約前に、いつの時点で何を見て判断するかを言葉にしておくほうが、あとの話がしやすくなります。

    見積もりの幅を作っているのは、この6つです

    候補から返ってきた見積もりに差があるとき、その差はだいたい次のどれかから来ています。飲食店の場合、特に上の3つで大きく動きます。どれも「増えると上がる、減ると下がる」という向きは共通なので、自分の店ではどこを厚くしてどこを削るのかを先に決めておくと、比較が一気にやりやすくなります。

    1. 撮影に人が来る回数と、1回あたりの時間

    飲食店でいちばん効くのがここです。同じ本数を作るにしても、月1回まとめて撮るのか、週1回ずつ来るのかで、必要な人の時間が変わります。回数が増えるほど上がり、まとめ撮りにするほど下がります。ただしまとめ撮りは、その月に出す料理が月初に決まっていることが前提です。日替わりや週替わりが主力の店だと、まとめ撮りに寄せるほど「撮った頃には終わっているメニュー」が増えます。安さだけで回数を減らすと、ここで詰まります。

    2. 制作する本数と、動画か静止画か

    月に何本作るかは、そのまま作業量です。加えて、リール(動画)とフィード(静止画)では、1本にかかる時間が違います。「月◯本」とだけ書かれた見積もりは、その内訳を聞いてください。動画8本と、動画2本+静止画6本では、同じ8本でも中身が別物です。

    3. 出張と、拠点の数

    店舗が遠ければ移動の時間が乗ります。2店舗、3店舗と増えれば、撮影も投稿も店舗ごとに要ります。複数店舗を1アカウントで回すのか、店舗ごとにアカウントを持つのかでも変わるので、いまの持ち方をそのまま伝えてください。

    4. 企画と台本まで含むか、素材を渡して編集だけか

    店側が撮った写真や動画を渡して編集してもらう形と、企画から考えて撮影に来てもらう形は、別の商品です。前者は安くなりますが、「何を撮るか」を決める仕事が店側に残ります。ここを外注できていないと、結局は毎月ネタを考える負担が消えません。この切り分けについては店舗のインスタで投稿ネタがない|作る前に、切れている場所を上から順に探すに詳しく書いています。

    5. 投稿までやるか、納品までか

    完成データを渡すところまでの契約なのか、アカウントに投稿するところまでなのか。さらに、コメントやDMへの返信が含まれるかどうか。飲食店はDMで予約や問い合わせが来るので、ここを含めるかどうかは負担の大きさが変わります。

    6. 分析とレポートを含むか

    作って出すだけの契約と、毎月数字を見て次を決める契約では、かかる時間が違います。レポートが付くと上がりますが、付いていない契約は「続けるか判断する材料」が手元に残りません。安く見える見積もりを見たときは、この項目が抜けていないかを確かめてください。

    見積もりを横に並べるための、3つの手順

    候補が出そろったら、そのまま比べる前にこの3つをやってください。ここをやるかどうかで、比較の正確さがかなり変わります。

    手順1:条件を先に決めて、同じ条件で出してもらう

    各社が自分の得意な形で見積もりを出すと、前提が全部ずれます。先にこちらから条件を渡して、その条件で出してもらってください。渡す項目は、上の6つをそのまま使えます。

    • 撮影に来てもらう回数と、1回あたりに空けられる時間(設営と撤収を含む)
    • 撮影に入れる時間帯(開店前・アイドルタイム・営業中のどれか)
    • 1か月に出したい本数と、動画と静止画の内訳
    • 店舗の数と、アカウントの持ち方
    • 企画を任せたいか、こちらで決めたいか
    • 投稿とコメント対応まで任せたいか
    • レポートが要るか

    この一覧を作る作業は、外注しなくても今日できます。むしろ、これが決まっていないと見積もりは幅で返ってきます。依頼側で先に決めておくことはSNS運用代行を頼む前に準備するもの|依頼側で先に決めておく5つにまとめています。

    手順2:一式ではなく、内訳を分けて出してもらう

    「Instagram運用一式」で1行になっていると、何が入っているのか分かりません。初期の一度きりの作業と、毎月繰り返す作業を分けて出してもらってください。そのうえで、毎月の側を「撮影」「制作」「投稿」「分析」に割ってもらうと、どこにお金を払っているかが見えます。

    分けてもらったあとに見るのは、合計ではなくどの項目が厚いかです。撮影が厚い会社は現場に来る会社、制作が厚い会社は編集で作り込む会社です。どちらが良いかではなく、自分の店に要るのはどちらかで選んでください。

    手順3:含まれないものを、先に聞く

    含まれるものは提案書に書いてありますが、含まれないものは書かれません。飲食店で後から追加になりやすいのは、だいたいこのあたりです。

    • キャンペーンや新メニューに合わせた、臨時の撮影
    • 撮影日の変更やキャンセル(店の都合で動かしたときの扱い)
    • グルメサイトや店頭で使うための、素材の追加書き出し
    • 投稿の修正回数(何回まで無料で直せるか)
    • 広告を出す場合の、設定と運用

    「これは別途になりますか」と1つずつ聞くだけで、見積もりの読み方が変わります。ここを聞かずに安いほうを選ぶと、あとから追加が積み上がって逆転することがあります。

    当社の場合をお知りになりたいときは

    当社は一律の料金表を置いていません。上の6つの条件で必要な時間が変わるので、同じ本数でも店によって組み方が変わるためです。条件を伺ってお見積りする形にしていますので、いまの状況をそのまま教えていただければ、この記事に書いた内訳の形でお出しします。料金・お見積りのページから、条件だけでもお送りください。

    持ち帰りパーツ:飲食店の1か月の運用スケジュール例

    比較するときに「実際どう回るのか」が見えていないと判断しにくいので、飲食店のインスタ運用を月8本ペースで回す場合の1か月の流れを書いておきます。これをそのまま候補の会社に見せて、「うちの場合はどこが変わりますか」と聞く材料にしていただくのが、いちばん使い道があると思います。

    第1週:撮る中身を決めて、1回で撮り切る

    • 月初に、その月の看板メニューと、期間限定で出すものを店側から共有する
    • 共有された中から、その月に撮るメニューを絞り込む(全部は撮らない)
    • 撮影日を1日決め、開店前かアイドルタイムのどちらで入るかを確定する
    • 当日、料理カットと調理の手元カット、店内の様子をまとめて撮る
    • 撮影の最後に、次の月に出す予定のメニューがあるか厨房に確認しておく

    第2週:出す順番を決めて、前半4本を投稿する

    • 撮った素材から、反応を見たい順に投稿の並びを組む
    • 看板メニューを先に出し、限定メニューは提供期間の頭に合わせて配置する
    • 投稿ごとに、店名と場所が分かる情報が入っているかを確認する
    • 週内に4本を投稿し、コメントとDMの反応を店側と共有する

    第3週:後半4本を出しながら、店頭の情報とずれていないか見る

    • 残り4本を投稿する
    • 営業時間や定休日に変更が出ていないか、店側に確認する(投稿と実態がずれるのが飲食店では一番の事故)
    • 売り切れや提供終了が出たメニューがないか確認し、投稿の内容と食い違っていれば対応する
    • 来店した人から「インスタ見ました」と言われた回数を、店側でメモしておいてもらう

    第4週:数字を見て、翌月に撮るものを決める

    • その月の投稿を並べて、どのメニューの反応が良かったかを見る
    • 「インスタ見ました」の回数と、投稿の反応が一致しているかを突き合わせる
    • 反応が良かった系統のメニューを、翌月の撮影候補に入れる
    • 翌月の撮影日を、営業カレンダー(宴会予約や貸切の予定)と照らして先に押さえる

    この流れの中で、店側が実際に手を動かすのはメニューの共有、撮影日の立ち会い、営業情報の変更連絡、来店時の一言のメモの4つです。ここが4つより増える提案になっているなら、その理由を聞いてみてください。外注しても店側の手間が減らないなら、外注する意味が薄くなります。

    まとめ:飲食店で比べるべきは、本数より段取りです

    ここまでの5つを、比較のときに見る順に並べ直します。

    1. 撮影を営業のどこに入れる提案か。時間帯と、月に何回来るかを確認する
    2. 撮った素材があとで誰のものになるか。SNS以外で使えるか、編集前のデータは残るか
    3. 来店までの導線が用意されているか。プロフィールと予約方法まで見ているか
    4. MEOとの役割分担を説明できるか。どちらを先にやるかを理由つきで言えるか
    5. 数字が動かない月に何を報告するか。判断の時期を先に揃えられるか

    そのうえで、見積もりは条件を揃えて出してもらい、内訳に割って、含まれないものを聞く。この3つをやると、数字の大小ではなく中身の違いとして読めるようになります。

    本数と見積もりの数字は並べればすぐ比べられますが、この5つは聞かないと出てきません。逆に言えば、ここを聞いたときの答え方で、その会社が飲食店の現場をどこまで想像できているかは、かなりはっきり分かります。

    私自身、10年間いた側なので、営業中の厨房に外から人が入ってくることが、どのくらい負担になるかは分かっているつもりです。飲食店のインスタ運用は、良い投稿を作る技術より、無理なく続けられる段取りを組めるかどうかで結果が変わります。候補を比べるときは、そこを見ていただければと思います。

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