MEO対策の見積もりを何社か取ると、金額がかなり開きます。同じ「MEO対策」という一語で呼ばれているのに、なぜここまで差が出るのか。先に結論を書きます。開いているのは、預かる対象の数と、毎月どこまでこちらが手を動かすかの範囲です。順位を上げる特別な技術があって、その差で開いているわけではありません。
この記事では、金額そのものは出しません。代わりに、金額を動かしている条件を1つずつ分解します。読み終わったときに、手元にある見積もりを見て「この金額は、この範囲だからこうなっている」と自分で読み替えられる状態を目指しています。
先に結論:費用を分けているのは、対象の数と、手を動かす範囲です
MEOで実際にやっている作業は、Googleビジネスプロフィールという1つの管理画面の中で終わります。どの会社が触っても、画面は同じです。そこに置ける情報の項目も同じです。だから差が付くのは「何ができるか」ではなく「どこまでやるか」と「いくつやるか」になります。
特別な技術の差では、金額はあまり動きません
MEOの作業を分解すると、情報を正確にする、写真を足す、口コミに返す、投稿を出す、数字を見る。だいたいこの5種類に収まります。どれも、やり方を知っているかどうかより、誰がどれだけの回数それをやるかで工数が決まります。工数で決まるものは、範囲を狭めれば安くなり、広げれば上がります。順位が上がる裏技があって、それを持っている会社が高い、という構造にはなっていません。
そもそもMEOとして何を触っているのかを整理したい場合は、MEO対策とは|地図に出るために、実際はどこを触っているのかのほうが先に読むものとして向いています。
だからこの記事では、金額そのものを出しません
当社はサイトに一律の料金表を置くのをやめました。理由は、条件がそろっていない見積もりを金額だけで並べても、判断できないからです。1拠点で投稿なし、と、3拠点で投稿ありを同じ表の上に並べると、安いほうが選ばれます。安いほうが狭いだけなのに、そう見えません。
当社の場合は、範囲を伺ったうえでお見積りする形にしています。網羅的に条件を詰めたい場合は料金・お見積りのページからご連絡ください。条件を伺ってお出しします。
条件と、上がる向き・下がる向きなら書けます
金額は出せませんが、「この条件が増えると上がる」「この条件を減らすと下がる」という向きは、はっきりしています。むしろ発注する側にとっては、額そのものよりこちらのほうが使えます。額は相手が決めますが、条件は自分で決められるからです。
費用の段階は、作業の深さで3つに分かれます
会社ごとにプラン名は違いますが、MEOの見積もりを何枚か見ていくと、深さの段階はだいたい3つに分かれています。名前ではなく、この深さで読んでください。
深さ1:ずれている場所を見つけて、報告するところまで
営業時間が実態と合っているか、カテゴリの選び方がずれていないか、電話番号やURLが古くないか。ここを点検して、ずれていればお伝えする。直す作業そのものは店舗側で行う前提です。いちばん軽い段階で、当然いちばん安くなります。
軽いから雑、という意味ではありません。点検の目を借りて、手は自分たちで動かす形です。更新の頻度が高い項目は現場が持つほうが速いので、店舗にある程度の手が空いているなら、この段階でも十分に機能します。
深さ2:見つけた場所を、こちらで直すところまで
点検で終わらず、整備までを受け持つ段階です。カテゴリの選び直し、サービス内容の記述、営業時間の例外設定、属性情報の埋め方。ここに写真の追加と整理、Google投稿の制作と掲載が加わってきます。
「指摘まで」と「作業まで」の違いが、そのまま段階1と段階2の差になっています。見積もりを見比べるとき、この線がどこに引かれているかを最初に探すと、金額の意味が読めます。
深さ3:同じことを、対象の数だけ繰り返す
複数店舗・複数アカウントの段階です。作業内容の種類は段階2とほとんど同じで、対象が増えたぶんだけ上がります。3拠点あれば3拠点ぶんの情報整備があり、3拠点ぶんの口コミが来て、3拠点ぶんの投稿が要ります。加えて、拠点間で情報の書き方を揃える作業が別に発生します。ここは1拠点のときには存在しない仕事です。
1拠点しかないのに、いちばん広い範囲を勧められたら
逆に言うと、1拠点なのに多拠点向けの範囲を提案されているなら、その理由は確認したほうがいいと思います。何が増えるからその範囲なのかを、拠点数以外の言葉で説明してもらってください。説明が出てくるなら納得できますし、出てこないなら範囲を絞る話ができます。
金額を動かしている6つの条件
ここからが本題です。呼び方は会社ごとに違っても、金額を動かしている変数はこの6つに整理できます。見積もりを比べるときは、6つがそれぞれどうなっているかを埋めていくと、金額が意味を持ちはじめます。
条件1:対象がいくつあるか
いちばん素直に効きます。作業が対象ごとに発生するためです。ここで数えるのは店舗の数だけではありません。管理アカウントが分かれているか、ブランドが複数あるか、同じ住所に複数のプロフィールが立っていないか。数え方が違うと、同じ「3拠点」でも工数が変わります。
条件2:基本情報を、報告で止めるか、修正まで進めるか
先ほどの深さ1と深さ2の線です。地味に見えますが、実務としてはここがいちばん重い部分になることがあります。一度整えれば毎月大きく動く場所ではないぶん、最初の整備に手数が集中します。初月だけ重い作業を、月額の中に混ぜて出すか、別立てにするかも会社によって違います。ここも聞いておくと、初月の請求で驚かずに済みます。
条件3:口コミが、型づくりか、届くたびの対応か
「口コミ対応込み」という一行の中身は、本当にばらつきます。返信の型をいくつか作って渡す形と、届いた口コミすべてに個別で書く形は、まったく別の作業です。後者は件数が読めないぶん、当然そのぶんが金額に乗ります。
件数の上限があるかどうかも聞いてください。「無制限」と書いてあるなら、繁忙期に何十件来ても同じ範囲なのかを確かめる。上限があるなら、超えたぶんがどう扱われるのかを確かめる。ここは後から必ず問題になる場所です。
条件4:Google投稿を、月に何本作るか
投稿を1本作るというのは、写真を選び、文章を書き、掲載するところまでを指します。本数が増えれば上がるのは、他の運用と同じ構造です。逆に、投稿がまったく入っていない見積もりは、そのぶん軽くなります。安い見積もりを見つけたときは、まず投稿の欄を見ると、差の理由の半分くらいは説明が付きます。
この「本数で決まる」という考え方は媒体が変わっても共通です。Instagramでの分解はインスタ運用代行の料金|見積もりの差がどこから来るのかを分解するの記事に書いています。作られ方はよく似ています。
条件5:写真を、整理するだけか、撮りに行くか
「写真」という言葉が、既にあるものを選んで並べることを指すのか、撮影に行くことを指すのかで、金額の意味がまったく変わります。撮影が入るなら、月に何回か、1回あたり何時間か、設営と撤収がその時間に含まれるか、交通費はどちら持ちか。この4つが決まって初めて、撮影ぶんの重さが読めます。
条件6:レポートに、読み解きと次の一手が入るか
数字を並べるだけのレポートと、そこから次に何をするかまで書くレポートでは、かかる時間が違います。打ち合わせが付くかどうかでも変わります。MEOは外から見て何をしたのか分かりにくい仕事なので、ここを削ると安くなりますが、削ったことに気づきにくいのも事実です。
条件ごとの、上がる向きと下がる向き

6つの条件を、向きだけで並べ直します。予算を調整したいとき、どこを触ると効くかが見えます。
- 対象の数が増える/減る:もっとも大きく上下します。まず拠点を絞れるかを考えます。
- 報告までにする/修正まで頼む:修正まで頼むと上がります。現場に手があるなら、ここは残せます。
- 口コミを型づくりにする/個別対応を頼む:個別対応にすると上がります。件数が多い業種ほど差が開きます。
- 投稿の本数を減らす/増やす:本数に比例して動きます。いちばん調整しやすい欄です。
- 写真を渡す/撮りに来てもらう:撮影が入ると、回数と時間のぶんだけ上がります。
- レポートを数値のみにする/読み解きと打ち合わせを付ける:付けると上がります。判断を自分でしたい場合は削れます。
この6行のうち、自社で持てるものが1つでもあるなら、範囲は狭められます。狭めた範囲で見積もりを取り直すほうが、値引きを頼むより筋が通りますし、後から揉めません。
同じ言葉なのに、中身が食い違いやすい3つの項目
比較していると、同じ単語なのに指しているものが違う項目が出てきます。ここを揃えないと、金額だけを見て高い安いを判断することになります。
「順位対策」が、どの地点のどの語を指しているか
地図の検索結果は、検索した人の現在地と検索語によって変わります。そのため「どの地点から、どの語で検索したときの順位か」を決めないと、上がった下がったの話が成立しません。レポートに順位を載せる会社なら、計測条件を先に聞いておくと、あとで話がずれません。順位そのものの見方はGoogleマップで上位表示されない|原因を上から順に切り分ける手順に分けて書いています。
「運用代行」に、投稿の掲載まで入っているか
情報整備までを運用代行と呼ぶ会社と、Google投稿の掲載までを含める会社があります。言葉は同じでも、含まれる作業が1つ違います。見積書の項目名だけでは判断できないので、投稿が入るか入らないかは、口頭でもいいので一度確かめてください。
「写真」が、整理を指すのか撮影を指すのか
条件5で書いたところです。当社の場合、MEOの範囲に含めているのは写真の追加と整理で、撮影が必要な場合はSNS側の撮影と組み合わせる形にしています。他社の見積もりでも、この線がどこにあるかで金額の意味が変わります。
安く見える見積もりに出会ったとき、先に確かめること
金額が低いこと自体は、悪いことではありません。範囲が狭ければ安くなるのは当然です。問題になるのは、範囲が書かれていないまま安いときです。
成果報酬なら、何を成果として数えるのか
MEOでは「上位に出た日数だけ課金」という形の提示を見ることがあります。この場合、どの語で、どの地点から、何位以内を上位と呼ぶのかが、請求額をそのまま左右します。対象の語が自社の名前に近いものばかりだと、もともと上位に出やすいので、課金は発生しやすくなります。契約前に対象語を全部見せてもらってください。
最低契約期間と、解約を伝える期限
MEOは変化が見えるまでに時間がかかることが多い領域です。そのため一定の期間を置いている会社は珍しくありませんし、それ自体は理不尽ではありません。ただ、期間の長さと、解約を伝える期限は、契約前に文字で確認しておくほうがいいと思います。口頭の記憶は、必ず食い違います。
作業の記録が、あとから読める形で残るか
情報を整えた、写真を足した、投稿を出した。どれも見た目が派手に変わりません。だからこそ、月次のレポートに「今月やったこと」が具体的に並ぶかどうかは、けっこう重要です。並んでいれば、変化が出ない時期でも何を続けているかが判断できます。並んでいないと、続けるかやめるかの材料が手元に残りません。
そのまま各社へ投げられる、見積もりの質問リスト
相見積もりのときに、そのまま各社へ送れる形にしました。答えが揃うと、初めて金額を横に並べて比べられるようになります。
- この見積もりは何拠点ぶんですか。拠点が1つ増えると、どのくらい増えますか。
- 基本情報は、点検と報告までですか。修正作業もそちらで行いますか。
- 口コミ対応は、返信の型を作る形ですか。届いた口コミへの個別返信ですか。個別返信の場合、月の件数に上限はありますか。
- Google投稿は月に何本ですか。写真は誰が用意しますか。
- 撮影は含まれますか。含まれる場合、月に何回で、1回あたり何時間で、設営と撤収は時間の中ですか。交通費はどちら持ちですか。
- 初期の一度きりの作業はありますか。初月は何をして、通常の運用は何ヶ月目から始まりますか。
- レポートには何が載りますか。実物のサンプルを見せてもらえますか。
- 順位を計測する場合、対象の語と計測する地点は、どうやって決めますか。
- 最低契約期間はありますか。解約はいつまでに伝える必要がありますか。
- 契約が終わったあと、アカウントの管理権限はこちらに残りますか。
最後の1問が、いちばん忘れられます
Googleビジネスプロフィールは、店舗のアカウントです。代行会社に権限を渡して運用してもらう形になりますが、契約が終わったときに権限が自社に戻るかどうかは、先に確認しておく項目です。ここが曖昧なまま乗り換えると、移行の作業だけで時間を使うことになります。会社ごとの権限の預かり方の違いは、MEO対策の会社の選び方|見積もりを横に並べて比べるための4つの欄のほうで詳しく書いています。
予算に上限があるとき、どこを自社に残すか

全部を外に出すのが最善とは限りません。自社で持てる部分と、外に出したほうが早い部分は、わりとはっきり分かれます。
自社に残すと効くもの
- 写真を撮ってためておくこと。スマホで構いません。素材さえあれば、整理と選定は外に出せます。
- 営業時間や臨時休業の更新。頻度が高く、正確さが要る情報は、現場が持つほうが速いです。
- 口コミへの返信そのもの。型さえあれば、書くのは店舗でもできます。
外に出したほうが早く進むもの
- 最初の情報整備。カテゴリや属性の選び方は、慣れていないと判断だけで時間が溶けます。
- 返信の型の設計。低い評価への返し方は、一度作っておくと毎回迷わなくなります。
- 数字を見て次の手を決める部分。ここがレポートと打ち合わせの役割です。
この考え方で組むと、範囲のいちばん狭い段階に自社の作業を組み合わせる形が、現実的な選択肢として出てきます。整備の設計と型づくりだけ外に出して、更新と返信は店舗で回す。手が足りなくなったら範囲を広げる。予算に上限があるときは、この順番のほうが無理がありません。自社で触るときにどこを見て確かめるかは、Googleビジネスプロフィールの使い方|直したあと、どこを見て確かめるかにまとめています。
MEOだけで進めるか、SNSと一緒に組むか
素材が共通なので、撮影は分けないほうが無駄が出ません
当社ではMEOをSNSプランへの追加としても受けています。理由は単純で、写真という素材が共通だからです。撮影に行った素材は、Instagramにも、Googleビジネスプロフィールにも使えます。別々の会社に頼むと、同じ場所で二度撮ることになりがちで、そのぶんの時間と費用が二重に乗ります。
ただし、効く場面は別だと思っておくほうがいいです
MEOは、すでに近くにいて探している人に見つけてもらうための場所です。SNSは、まだ知らない人に届けるための場所です。どちらが優れているという話ではなく、効く場面が違います。いま困っているのがどちらなのかで、先に手をつける順番は変わります。媒体ごとの費用の考え方はSNS運用代行の費用相場|何で金額が変わるのかを、媒体ごとに読み分けるに分けて書いています。
変化が見えるまでの時間の話

手応えのない期間は、実際にあります
正直に書くと、MEOに限らず、この手の運用は始めてすぐ数字が動くものではありません。私自身、引き継いだアカウントをコンセプトから作り直したことがありますが、伸びるまで手応えは一切ありませんでした。やっている最中は、効いているのかどうか分からないまま進めていました。
この経験があるので、反応が無い期間をすぐ失敗とは考えないようにしています。ただ、これは待てば必ず動く、という話ではありません。大事なのは、待っている間に何をしたかが記録に残っていることです。だから先ほどの質問リストに、レポートの実物を見せてもらう項目を入れました。
順位より先に、自分たちの手が動いた量を見てください
順位は変動が大きく、計測条件によっても変わります。それよりも、情報の抜けが埋まったか、写真が増えたか、投稿が予定どおり出ているか。手が動いた量は、初月から確認できます。ここが動いていないのに順位だけを議論しても、話が前に進みません。
最後に:金額を並べる前に、範囲を並べる
もう一度整理します。MEOの費用を動かしているのは、対象がいくつあるか、基本情報を報告で止めるか修正まで進めるか、口コミが型づくりか個別対応か、Google投稿を何本作るか、写真を整理するだけか撮りに行くか、レポートに読み解きが入るか。この6つです。
手元の見積もりを、この6つの欄に当てはめて書き出してみてください。埋まらない欄が出てきたら、そこが聞くべき質問です。埋まった状態で並べて、初めて金額の比較が成立します。範囲が違う見積もりを金額だけで比べると、いちばん狭いものが選ばれます。この記事で持ち帰っていただきたいのは、その順番です。
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