SNSの外注先を探していると、似たような仕事に二つの名前が付いていることに気づきます。「運用代行」と「コンサル」です。サービス紹介のページを読み比べても、書いてあることは驚くほど似ています。
この記事が答えるのは、一つの質問だけです。この二つは何が違っていて、自分はどちらを頼む側なのか。ここに答えを出してから、候補を並べてください。
先に結論:違いは作業量ではなく、投稿を出す手がどちらにあるかです
金額でも、専門性の高さでもありません。分かれているのは、実際に投稿を作って出す手が、契約後にどちら側にあるかという一点です。
代行は、出すところまでがこちらへ移ります
運用代行は、作る作業と出す作業が発注側の手から離れます。素材を渡すか、撮りに来てもらうかの違いはありますが、最後に画面を触るのは受けた側です。社内に残るのは、確認して「これで出してよい」と言う役割になります。
コンサルは、出す手がそちら側に残ります
コンサルは、決め方と見方を渡す仕事です。誰に向けて何を出すか、どの数字を見て次を変えるか。決まったあと、それを形にして出すのは発注側の担当者です。手は動かないまま、判断だけが外から入ってくる状態になります。
だから、比べる前に社内の手を数えます
この整理が正しければ、選ぶ順番も決まります。先に見るのは提案書ではなく、自社の中に、毎週決まった時間を出せる人がいるかどうかです。ここが空欄のままコンサルを選ぶと、良い方針が出たところで止まります。
名前で見分けようとすると、たいてい外します
ややこしいのは、この二つが混ざった形で売られていることです。名前は、中身の説明というより見せ方の選択になっていることがあります。
「コンサル付き運用代行」と書かれている場合
作って出すところまで受けたうえで、月に一度は数字を一緒に見ましょう、という形です。中身は代行寄りですが、決める会話がどれくらいの頻度で、どこまで踏み込むかは提案書ごとにかなり違います。
「伴走型」「二人三脚」と書かれている場合
言葉だけでは、手が動くのかどうかが分かりません。作る作業を一部だけ持つ形もあれば、助言に限る形もあります。柔らかい言葉ほど、範囲が書かれていないことがあります。
読むのは名前ではなく、毎月出てくるものの欄
提案書のサービス名は飛ばしてください。見るのは「毎月の納品物」と書かれた欄です。そこに投稿の完成データが並んでいれば代行、資料や議事録が並んでいればコンサルです。混ざっていれば、どこが境目かを聞けば済みます。
この整理が要る方と、たぶん要らない方
ここから先は、読む価値がある状況とそうでない状況がはっきり分かれます。
手元に、名前の違う提案が二通以上ある方
片方が代行で、もう片方がコンサルという形で並んでいる場合、総額や本数を比べても判定できません。この記事の分け方が、そのまま比較の下地になります。
社内で毎週手を動かす人が、まだ決まっていない方
先に決めるのはそちらです。担当者が決まっていない状態でコンサルを選ぶと、渡された方針を実行する人がいないまま月が進みます。名前で答えを出す前に、社内の名簿を見てください。
すでに契約していて、内容を変えたい方
この記事は契約前の比較を想定しています。途中で形を変える話は、契約書の読み方から入ったほうが早く進みます。
分かれ目1:毎月、何が納品されるのか
一つめの軸は納品物です。ここが最も分かりやすく、しかも見積書の上で確かめられます。
代行から出てくるのは、そのまま出せる状態のもの
投稿の画像や動画、本文、投稿した記録。数えられる単位で出てきます。だから本数や回数で比べられますし、多ければそのぶん重くなります。
コンサルから出てくるのは、決めごとと判断
方針をまとめた資料、投稿の型、確認の場での指摘、数字の読み方。こちらは本数で数えにくく、見積書では「月◯回の定例」という時間の単位で書かれることが多くなります。
中間の形もあります
最初の数ヶ月だけ型を一緒に作り、そのあとは自社で回す形です。作る作業は途中まで受けて、そこから助言に切り替わります。この形を選ぶなら、切り替わる月をいつにするかを契約前に決めておくほうが安全です。あとから決めると、どちらの仕事でもない月が生まれます。
分かれ目2:社内に残る作業の量が、まるごと変わります
二つめの軸は、契約後に自社へ残る作業です。ここを数えずに選ぶと、あとで「思っていたより大変だった」という話になります。
撮る人と、出す人の名前が決まっているか
コンサルを選ぶなら、この二つは社内の誰かの名前で埋まっている必要があります。役職ではなく名前で言えるかどうかで判定してください。「手が空いた人が」という答えなら、まだ埋まっていません。
決めたことを続ける時間が、社内にあるか
方針は一度決めれば終わりますが、投稿は毎週続きます。負荷が高いのは決める作業ではなく、続ける作業のほうです。月に一度の会議に出られるかではなく、毎週の作業時間を出せるかで見てください。
仕組みを持っていても、手は戻ってきます
私自身、自分のアカウントの投稿は自動で出る形にしています。それでも、結局そのつど自分の手を動かしています。仕組みがあっても手が戻るのですから、型だけを受け取った状態で社内に時間が無ければ、続かないほうが自然です。
分かれ目3:契約が終わった翌月に、どちらへ何が残るか
三つめの軸は、終わり方です。始める前に考える話ではないように見えますが、二つの違いがいちばんはっきり出るのはここです。
代行が抜けると、出す作業がそのまま空きます
毎月出ていた投稿が、翌月から出なくなります。素材や過去の投稿は残りますが、作って出す手は消えます。そのため、終わったあとをどうするかを最初に決めておくかどうかで、後半の動き方が変わります。
コンサルが抜けても、決めた型は残ります
誰に向けて何を出すか、どの数字を見るか。言葉になっていれば社内に残ります。ただし、残るのは文章として記録された分だけです。会話の中だけで決まったことは、担当者が変わった時点で消えます。
残った型を動かす人は、やはり要ります
型が残ることと、続くことは別です。社内の担当者が一人しかいない場合、その人が抜けると型ごと止まります。どちらを選ぶ場合でも、担当が一人のときに止まるのはどちら側かを確かめておくと、あとの判断が楽になります。
費用の重さは、二つで別の条件に乗ります
金額そのものはここでは扱いませんが、何で動くのかは書けます。動く条件が違うので、同じ物差しでは比べられません。
代行で重くなるのは、作る量と撮影に出る時間
制作の本数、動画の尺、撮影の回数と一回あたりの時間、行き先の数、媒体の数。増えれば上がり、減れば下がります。人の時間が素直に乗る形です。
コンサルで重くなるのは、会う回数と見る範囲
定例の回数、確認する媒体の数、拠点の数、数字をどこまで読んで資料にするか。作る量が増えても、助言の範囲が同じなら大きくは動きません。代わりに、会う回数が増えると素直に上がります。
近い金額の見積もりでも、買っているものは違います
二通の総額が近いとき、同じ水準の提案が並んでいるように見えます。実際には、片方は作業を買っていて、もう片方は判断を買っています。近い数字ほど、先に納品物の欄を読んでください。(2026年9月時点の見方です。条件は各社で変わりますので、最新は見積書でご確認ください。)
条件を伺ったうえでのお見積りについては、料金・お見積りのページに流れをまとめています。
持ち帰れるパーツ:二つの提案を横に並べる前に決めておく欄
比較の失敗は、資料を開いてから見る場所を決めることで起きます。先に欄を作り、それから資料を開いてください。紙でも表計算でもかまいません。
用意する欄は、この八つです
- 毎月そちらから出てくる完成物は、出せる状態のものか、決めごとか
- 投稿を出す最後の操作を、どちらがするのか
- 企画と台本は、どちらの手から出るのか
- 直しが発生したとき、直す作業をするのはどちらか
- 数字を見て次を決める会話が、月に何回あるのか
- その会話で決まったことを、文章にして残すのはどちらか
- 社内の担当が一人抜けたとき、止まるのはどちらの側か
- 契約が終わった翌月、投稿の予定表に何が残っているのか
空欄は「無し」ではなく「未確認」と書きます
提案書に書かれていない欄を、無しと解釈しないでください。書かれていないだけで、実際には含まれていることがあります。未確認と書いて、そのまま質問の一覧として使えます。
今日からできるのは、二番と七番だけ先に埋めることです
この二つは、相手に聞かなくても自社の中で答えが出ます。投稿を出す操作をする人の名前と、その人が抜けたときに止まる範囲。ここが埋まると、提案書を開く前に、自分がどちら寄りの契約を必要としているかが分かります。二つの欄が埋まらないうちは、比較そのものを急がないほうが進みます。
私がいま受けている契約は、どちらに入るのか
参考までに書いておきます。私が受けている仕事は、企画と台本を作り、編集の指示を出し、投稿し、月に一度の分析までを含む形です。手が動いているので、分類としては代行に入ります。
それでも、決める会話は毎月あります
分析の場では、次に何を変えるかを話します。つまり実務としては、代行の中にコンサルの要素が入っている形です。多くの契約はこの中間にあります。だからこそ、名前ではなく欄で分ける必要があります。
中間だからこそ、境目を文字にしておきます
どこまでを私が判断し、どこからを先方が決めるのか。ここが文字になっていないと、どちらも相手が決めると思ったまま月が過ぎます。比較のときにこの境目を聞いておくと、契約後の往復が減ります。
この記事と近い話は SNS運用代行と自社運用はどっち?外注する前に決まる5つの条件/SNS運用代行の選び方|代行する側から見た、会社ごとに実務の中身が違う5つの場所 にも書いています。
まとめ
運用代行とコンサルの違いは、投稿を作って出す手が、契約後にどちらにあるかです。そこから、毎月の納品物、社内に残る作業、終わった翌月に残るものの三つが決まります。
どちらが優れているという話ではありません。社内に毎週動かせる手があるならコンサルが噛み合いますし、無いなら代行のほうが現実的です。手が無い状態でコンサルを選ぶと、方針だけが積み上がります。
提案書の名前は、この判断の材料になりません。八つの欄を先に作り、二番と七番を自社で埋めてから、残りを相手に聞いてください。それだけで、名前が違う二通の提案を同じ土俵に置けます。
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